電気自動車や商用車にも「エマージェンシーブレーキ」、2015年度中に搭載安全システム

日産自動車は、2015年度中に電気自動車と商用車に自動ブレーキ機能「エマージェンシーブレーキ」を搭載する方針を明らかにした。これで同社のほぼ全ての車両カテゴリーで、自動ブレーキ機能の搭載車がラインアップされることになる。

» 2015年01月26日 13時00分 公開
[朴尚洙,MONOist]

 日産自動車は2015年1月23日、2015年度中にほぼ全ての車両カテゴリーに自動ブレーキ機能を搭載する方針を明らかにした。

 同社は「エマージェンシーブレーキ」という名称で、セダンの「スカイライン」、SUVの「エクストレイル」、ミニバンの「セレナ」、小型車の「ノート」、軽自動車の「デイズ」と「デイズ ルークス」の6車種に自動ブレーキ機能を搭載している。2015年度には、「リーフ」のような電気自動車や、「AD」や「NV350キャラバン」などの商用車にも搭載することで、ほぼ全ての車両カテゴリーをカバーするという。

「リーフ」のような電気自動車にも「エマージェンシーブレーキ」が搭載される 「リーフ」のような電気自動車にも「エマージェンシーブレーキ」が搭載される(クリックで拡大) 出典:日産自動車

 日産自動車は2020年までに自動運転技術の段階的な実用化を目指している。エマージェンシーブレーキの搭載車種拡大は、この自動運転技術の開発に必要な「カメラ認知技術」や「操作自動化技術」を活用した安全機能を、自動運転技術の導入前にいち早くユーザーに届けるものだとしている。

 自動運転の要素技術は、「アラウンドビューモニター」、「インテリジェントパーキングアシスト」、「スマートルームミラー」にも取り入れており、これらの機能も搭載車種を拡大する構えだ。

同じ「エマージェンシーブレーキ」でも機能が異なる

 エマージェンシーブレーキという同じ名称を使っているが、車種によって採用している技術は異なっている。スカイラインは、ミリ波レーダーを用いた自動ブレーキで、走行速度が時速5km以上で動作し、時速60km以下であれば前方車両との衝突回避が可能だ(関連記事:新型「スカイライン」が示唆する日産の自動運転技術の実現性)。

 一方、エクストレイルやセレナ、ノートの自動ブレーキは、単眼カメラを用いている。時速10〜80kmの範囲で動作し(歩行者に対しては時速60km以下)、時速30km以下であれば衝突回避が可能になる(関連記事:日産が単眼カメラ自動ブレーキを横展開、「セレナ」と「ノート」に搭載)。

 軽自動車のデイズとデイズ ルークスは、他の軽自動車メーカーと同様にレーザーレーダーを用いた自動ブレーキを搭載している。時速約5〜30kmの低速走行時に、前方車両を検知して衝突回避または衝突被害軽減が可能で、スカイラインやエクストレイルよりも自動ブレーキとしての性能は低い(関連記事:日産「デイズ」と三菱自「eK」が自動ブレーキ搭載、価格は2万4000円の場合も)。

 電気自動車や商用車にどのエマージェンシーブレーキが搭載されるかは明らかにはなっていない。ただし、車両の価格帯や形状などを考慮すると、単眼カメラを用いたシステムになる可能性が高い。

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