ISO26262と車載セキュリティを同時に実現するサポートプログラムISO26262

ルネサス エレクトロニクスは、自動車向け機能安全規格であるISO 26262と車載システムのセキュリティの対応支援を統合した「自動車向け機能安全・セキュリティサポートプログラム」の提供を2015年1月30日から始める。

» 2015年01月13日 14時00分 公開
[MONOist]

 ルネサス エレクトロニクスは2015年1月13日、自動車向け機能安全規格であるISO 26262と車載システムのセキュリティの対応支援を統合した「自動車向け機能安全・セキュリティサポートプログラム(Safety and Security Support Program for Automotive)」の提供を始めると発表した。

 同プログラムでは、ルネサスの車載半導体、ソフトウェア、分析ツール、作業成果物、教育やコンサルティングなどを組み合わせて提供する。これらによって、車載システムの開発における機能安全とセキュリティへの対応を容易化し、顧客の開発負担の軽減に貢献するという。同年1月30日から、車載マイコン「RH850」のボディ電子系システム向け製品でサービスを開始し、その後他の車載半導体に順次展開を広げていく予定だ。

 同プログラムの特徴は主に3つある。1つ目は分析ツールだ。同社が高いシェアを誇る車載半導体のユースケースやデバイス開発のノウハウを蓄積したデータベースを基に、システム構成に合わせた安全分析や安全を考慮したセキュリティ脅威分析のツールを提供する。

 2つ目は、ハードウェアと密接に関わる、CPU自己診断や各種診断、セキュリティ機能などを実現するソフトウェアの提供である。機能安全の場合はセーフティアプリケーションノートや安全分析と、車載セキュリティの場合は脅威分析と、それぞれ相関を取っているので、開発プロセスとの親和性が高い。ユーザーは、これらの内容に従うだけで、システムの構築に必要な診断ソフトウェア開発を簡単に実現できるので、アプリケーションソフトウェア開発など他の業務に注力することが可能になる。

 ルネサスは、150人以上の機能安全管理者やレビュワーといった有資格者が在籍しており、製品開発にも携わっている。セキュリティに関してもICカード関連など多くの知見を持ったエキスパートがいる。これらの知見を集めた確証方策リポートや検証リポートといった作業成果物の一括提供が、3つ目の特徴になる。この他、必要に応じて、検証支援やe-ラーニングによる教育、コンサルティングも提供するという。

ルネサスの「自動車向け機能安全・セキュリティサポートプログラム」の概要 ルネサスの「自動車向け機能安全・セキュリティサポートプログラム」の概要 出典:ルネサス エレクトロニクス

 なおルネサスは、自動車技術の展示会「オートモーティブワールド2015」(2015年1月14〜16日、東京ビッグサイト)内の「第7回国際カーエレクトロニクス技術展」において、同プログラムのデモンストレーションを紹介する予定だ。

ISO26262対応で開発負荷が40〜50%増加

 車載システムの開発現場では、2011年11月に規格が正式発行されたISO 26262への対応によって、安全コンセプトの構築、定性的および定量的な安全分析、そして確証方策などさまざまな作業が発生するため業務負荷が増加している。ルネサスは、従来比で40〜50%の負荷増加になると想定している。ISO 26262の第2版の検討も始まっており、今後新たな規格要求が追加される可能性もある。

 さらに2015〜2020年にかけて順次導入が進む高度運転支援システムや自動運転システムの実現には、車両外との通信が重要になるため、PCやスマートフォンのようにセキュリティも必須となる。車載セキュリティの規格化が国内外で進められているが、もし規格対応が必要になれば、ISO26262対応に加えて負荷がさらに増えることになる。

ISO26262−自動車向け機能安全規格−

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