従来は製造装置など機器メーカーが主導したこれらの製造現場における標準化の動きだが「スマートファクトリーの実現には、ITソリューション企業が果たさなければならない役割も増えてきており、多くのチャンスが生まれる」とアーノルド氏は協調。求められる技術的なポイントとして、以下の8つのポイントを挙げる。
例えば、機器通信のプロトコルが自由に翻訳できるようになれば、工場にとっては、異なった環境における工場装置を接続でき柔軟性を実現できる。また、設備のセットアップの再利用が可能になり、柔軟性や効率性向上につながる。またより有効なデータ追跡が可能となり、有効な「改善」が行える。
これらを実現するためには、短中期の観点から見るとまずは工場レベルでの実装が考えられる。異種環境に対応した装置の導入を進めたり、サプライヤーのシステムを標準的なものに統一したり、独占的な標準を持つソリューションプロバイダーを活用したりする。また長期的な視点としては、ツールレベルでの実装が求められる。十分な能力を持った新たなPLCやIPCの開発を進めていく必要がある。また部分的な標準がより広く受け入れられるようになる。
また、サプライチェーンの水平統合を実現するには、工場のコントローラーレベルでの連携が必要になる。工場の装置レベルでのアプリケーションを統一し、またデータの収集と加工方法の統合などが必要になる。これらを実現することで、ビッグデータ分析など、新たな知見獲得が可能になるという。既に半導体産業では「SEMI PV35」などの規格も設立されている。
その他、マーケティングやプロダクトデザインとのデータ連携の実現や、クラウド技術をどのように組み合わせていくかなど「ITソリューションベンダーが活躍する場面は多く、チャンスが生まれるだろう」とアーノルド氏は話している。
ドイツ政府が推進する国家プロジェクト「インダストリー4.0」。その目指すところは、現在よりも一段と高度化した生産システムです。同様のモノづくりのさらなる高度化に向けた取り組みは、米国や日本などでも巻き起ころうとしています。「インダストリー4.0が指し示す次世代工場の姿」特集では、「インダストリー4.0」が目指す姿や標準化の道のりなどを追うとともに、日本で高度な生産方法や生産技術に挑戦する動きを取り上げています。併せてご覧ください。
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