「新価値創造展2014」ではインダストリー4.0をテーマとしたビジョンセミナーを開催。各界3人の有識者が登壇し、「インダストリー4.0とは何か」や「どういう価値をもたらし、どういう課題があるのか」を解説した。後編では、ピアーグループ(ドレスデン)社長のマイケル・アーノルド(Michael Arnold)氏の講演「ITソリューション企業から見た第4次産業革命」の内容をお伝えする。
「新価値創造展2014」(2014年11月19〜21日、東京ビッグサイト)では2014年11月20日、インダストリー4.0をテーマとしたビジョンセミナーを開催した。
今回のセミナーでは、冒頭にドイツ連邦共和国 ザクセン州経済振興公社 日本代表部 代表(三菱UFJリサーチ&コンサルティング 国際営業部副部長)の尾木蔵人氏がインダストリー4.0の概要と生まれた背景について解説(前編)。続いて、ドイツのフラウンホーファーIPA(生産技術・オートメーション研究所)のヨアヒム・ザイデルマン(Joachim Seidelmann)氏が「科学技術の観点から見たインダストリー4.0」をテーマに、技術的な概要と現在までの研究成果を発表(中編)。最後にSIヤーのピアー(PEER)グループ(ドレスデン)社長のマイケル・アーノルド(Michael Arnold)氏が「ITソリューション企業から見た第4次産業革命」をテーマに講演した。
後編では、SIヤーとしての立場からITベンダーとしてインダストリー4.0にどのように取り組んでいくべきかを紹介したアーノルド氏の講演内容をお伝えする。
ピアーグループはカナダで1992年に創業。主に半導体やソーラー、LED、MEMSなどの工場における自動化のコンサルティングサービスや装置導入など、システムインテグレーターとして、グローバル展開を進めている。特に半導体産業における生産装置の連携領域では高い実績を持つという。
一般的に半導体の前工程工場を設立する場合、工場の装置が約1000台、ステップ(工程)が1000で、ウエハーの生産枚数が月5000枚、サイクルタイムが1カ月などの条件が求められる。その場合、工場のフロアレベルで、約1000の製造関連のITアプリケーションが必要になるという。
また一方で工場内のシステムと関連するITについてもさまざまなシステムが存在している。企業としての基幹を支えるシステムであるERP(Enterprise Resource Planning)や、生産のコントロールを行うMES(Manufacturing Execution System)、品質管理を行うSPC(Statistical Process Control)、装置を駆動させるコントローラーやPLC(Programmable Logic Controller)などが存在する。
しかし、工程がより複雑に高度になる中で、装置同士の情報のやりとりの複雑性は高まっており「それぞれの連携を線で結ぶと複雑に絡まり合う“スパゲッティ状態”となっており、それが生産性の向上を阻む要因にもなりつつあった」とアーノルド氏は語る。
これらの状況を解決するために、以下の4つのポイントでの取り組みが進んでいるという。
「これらの取り組みはインダストリー4.0を実現する上で必要となる“要素”ということができる。さらにこれらを垂直統合する動きも進んでおり、これもインダストリー4.0が目指す水平、垂直の統合という考え方と同じだ」とアーノルド氏は述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.