Scratchで家電を制御しよう!Scratch 2.0で体験! お手軽フィジカルコンピューティング(12)(3/3 ページ)

» 2014年12月15日 11時00分 公開
[今岡通博MONOist]
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自作USB連動タップについて(上級者編)

 今回の記事で紹介したプログラムや回路を検証するため、筆者が自作したUSB連動タップの技術情報を開示しておきます。まれなケースとは思いますが、紹介した作例が市販のUSB連動タップで動作しないことがあるかもしれません。そんな場合、検証用に自作したUSB連動タップと市販製品の回路を比較し、不具合の解決に当たって頂ければと思います。

 ここからは自作USB連動タップについて説明しますが、技術的に上級者向けの情報というより、むしろ自己責任で作業ができる方への情報と解釈して頂ければと思います。また、自作することを目的、ならび推奨するために書かれたものでもありません

 自作USB連動タップの基本的な仕組みや機能は市販品と同等と考えていただいて結構です。USB連動タップには主に、メカニカルなリレーを使ったものとソリッドステートリレーを使ったものがありますので、まずはそれらについて紹介します。

メカニカルリレータップ式USB連動タップ

 図9はメカニカルリレーを用いた作製したUSB連動タップで、図2の回路を実装したものです。リレーの電磁コイルを動作させる場合は電源の極性は気にしなくてもよいのですが、リレーのコイルから発生する高電圧対策のためダイオードを入れています。そのため、逆の電圧をかけるとこのダイオードが破損する場合がありますので気をつけてください。

photo メカニカルリレー式連動タップ

ソリッドステートリレー式USBタップ

 図8がソリッドステートリレーを利用して作製したUSB連動タップです。ソリッドステートリレー式のメリットとしては耐久性の高さと、コイル式のリレーのように逆起電流の発生の心配がないこと、また制御側での消費電力が少ないことなどが挙げられます。デメリットとしては、動作時(接点が切り替わるときに)に音が出ないので、別途動作しているかどうか確認するための方法が必要です。

photo ソリッドステートリレー式USBタップ

 ソリッドステートリレーに相当する部分は秋月電子通商が販売している「ソリッド・ステート・リレー(SSR)キット25A(20A)タイプ」図9を使っています。ハンダ付けは必要ですが部品点数は非常に少ないキットとなっています。ソリッドステートリレーの基板の部分は図10のような回路となっています。

photo 図9 「ソリッド・ステート・リレー(SSR)キット25A(20A)タイプ」(出展:秋月電子通商)
photo 図10 ソリッド・ステート・リレー回路図

保護回路

 USB連動タップを自作する場合、何らかの保護回路を備えることを強く推奨します。必要な理由は2つあります。

 まずは事故の防止です。配線ミスや回路内でのケーブル接触などで想定以上の電流が流れないとも限らず、その際には部品の破損、異常過熱、最悪の場合は発煙や発火、爆発が起こり得ます。これらの事故を防ぐために保護回路は必要です。

 次は他の家電製品への影響を避けるためです。家庭に配電されているAC100V電源にはブレーカーが備えられており、ある一定以上の電流が流れるとこのブレーカが切れるようになっています。自作USB連動タップの異常でブレーカーが落ちると、対象となるコンセントだけでなく、そのブレーカにつながったそれ以外の電気製品の電源も絶たれてしまうからです。

 最も簡単に保護回路を構成するデバイスとしては、ヒューズとポリスイッチがあります。ヒューズ(図11)は保護回路として古くから使われてきました。通常は導体として動作しますが、ある一定の電流が流れると合金部品が溶断し回路を守ります。回路を復旧するためには溶断したヒューズを交換する必要があります。

 一方でポリスイッチ(図12)は、2枚の電極に電導性ポリマーのシートを挟み込んだ構造をしています。電導性ポリマーは電導性のあるカーボンを混ぜ合わせたもので、通常温度のときはカーボンが密に触れ合い高い電導性を示しますが、一定以上の電流が流れるとこのポリマーが熱膨張しカーボン同士が離れた状態になり抵抗値が増大します。

photophoto 図11 ヒューズ(写真=左 出展:Wikipedia)、図12 ポリスイッチ(写真=右 出展:秋月電子通商)

 しかし電流値が基準値を下回るとポリマーは冷却され、高い電導性を持つ状態に復帰します。そのため、ヒューズのように交換することなく電流が正常値に戻れば回路を復旧させることができるのです。

 いずれも耐電圧や流せる電流などで規格が決まっていますので、AC100V制御するスイッチングデバイスの容量や、電源をオン/オフする電気製品の消費電力などを考え、適切な保護回路デバイスを選択してください。

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