「盛りだくさんのパワポをものすごい勢いでめくる」「1枚に文字がギッシリ書かれ、要点が絞れていない」……そんなプレゼンを返上する、プレゼン“設計”の基本を伝授する。
根川 甚八(ねがわ じんぱち)
根川製作所 代表取締役社長。団塊世代の大田区系オヤジ技術屋。通称、甚さん
国木田良太(くにきだ りょうた)
ADO製作所 PC事業部 設計2課 勤務。甚さんいわく「イマドキな若者」。機構設計者。通称、良君
沢田恵梨香(さわだ えりか)
ADO製作所 PC事業部 設計2課に勤務する派遣社員。良君のい〜加減な設計を製図でしっかりフォローする優秀な設計アシスタント。製図専門学校卒。通称、エリカちゃん
*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。
前回でよぉ、取りあえず、表1の6個のスキル、これに関する解説は全部終わったぜぃ。オメェら、これでいいんだろ、できんな、あん?
第2回でも言いましたが、私は「ラポール」と「3秒ルール」がお気に入りです。特に「3秒ルール」は転職の面接に役立ちますね。「ラポール」は、「相手の気持ちを伺うこと」。プライベートでも役立ちそうですね!
僕もやっぱり、「6W2H」と「PDPC」かな。「6W2H」は設計の基本ツールだし、「PDPC」は合コンに役立つし……。ウッシシィ……。
合コンでの成果はまだ出てないみたいですが? そうだ「6W2H」といえば、第4回の「ハンパなキッチンマット」の件はキッチンをよく使う女性目線の評価の話でしたけど、個人的には爽快でしたね。
「6W2H」が、設計の基本中の基本ってぇことも、分かってくれたかぁ。そいつぁ、うれしいってもんよ。そんじゃ、今回は新しいテーマにへいるぞ。もちろん、技術者向けのコミュニケプレゼンだぁ。
技術者向けコミュニケプレゼンの6つのスキルを理解したその次は、「コミュニケプレゼン」の「形式編」に入っていきましょう。
筆者が若かりし頃、部長や役員が壇上で世の中の情勢を踏まえて、自社の現状や今後の方針を述べているのを聞いていて、情けなくなったものです。一体何を言いたいのか分からないし、どこからパクッてきた内容なのか……。声がうわずっている人も多くいました。
特に気になったのが、用意したプレゼン資料の枚数が異常なほど多かったことです。まるで走馬灯のようにめくる場合や、1枚のパワーポイントの中に文字がギッシリ書かれ、要点が絞れていないケースを何度も目の当たりにしました。
ああ、前回登場した“ブレザー部長”もそうです。4月の開発方針説明で、盛りだくさんのパワポを、まさに走馬灯のようにばばばっとめくって、自分に酔ったプレゼンをするんですよね。
うーん、プレゼンの雰囲気もキザで鼻に付くんだよね……。
ブレザー部長は、プレゼンの基本を学ばなかったんだなぁ。若いうちに基本を学べ! 技術者には、技術者向けのコミュニケプレゼンが必要なんだぜぃ!
来月に、わが社の「技術成果発表会」が市民ホールを借り切って開催されるんです。部ごとに代表者を出してプレゼンするんですけど、1人当たりの持ち時間は20分です。審査員がいて、優勝すれば、優勝金はなんと30万円! 僕も登壇するんですが……、ホラ、僕って富士山麓大学大学院の主席卒でしょ? プレゼンテーションは得意中の得意。簡単に優勝できちゃうかもなぁ……フフフフフフフフ。
うわっ……。
そりゃ、甘ぇな、そのプレゼンだってどうせ自己流だろがぁ、あん? その行く末がよぉ、さっきの部長や役員だぁ。
自己流ではありませんよ〜。僕には、「甚さんの技術者向けコミュニケプレゼン」という最強の武器があるじゃないですか〜。まさに「鬼に金棒」とはこのこと!
ハイハイ……。
あぁ、分かった分かった。たまには期待してやるぜぃ! そんなオメェが登壇する成果発表会を例にして、今回は解説しようじゃねぇかい。よぉ〜く耳をかっぽじって聞きやがれってんだぁ!
多くの企業で、年に1、2回「技術成果発表大会」が実施されています。技術者のモチベーション向上のために、自身の業務成果を壇上で発表するイベントです。
社内審査員が発表者を採点し、優勝者や準優勝者には金一封が出ます。非常に有効なイベントであり、当事務所では、クライアント企業に年1回の技術成果発表大会の開催を勧めています。
プレゼン資料作成には、パワーポイント(パワポ)を使うだろ? 技術者は「パワポを“設計”する」んだ。この設計も、「技術者向けコミュニケプレゼンスキル」だ!
パワポを「作成」……ではなく、「設計」するんですね。なんか、すごく分かりやすいです。
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