いきなり説得から入らずに、まずは気持ちや状況の共有(ラポール)から。それが、コミュニケーションをギスギスさせないポイントだ。
根川 甚八(ねがわ じんぱち)
根川製作所 代表取締役社長。団塊世代の大田区系オヤジ技術屋。通称、甚さん
国木田良太(くにきだ りょうた)
ADO製作所 PC事業部 設計2課 勤務。甚さんいわく「イマドキな若者」。機構設計者。通称、良君
沢田恵梨香(さわだ えりか)
ADO製作所 PC事業部 設計2課に勤務する派遣社員。良君のい〜加減な設計を製図でしっかりフォローする優秀な設計アシスタント。製図専門学校卒。通称、エリカちゃん
*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。
設計の頂点とは、「最高の技術力や設計力」と思っていましたが、何度も甚さんからの説明を受けて、僕も納得しました。設計の頂点とは「コミュニケプレゼン」(コミュニケーション力&プレゼンテーション力)なんですね。
おぉ、そうよ。今回は理解が早ぇ〜じゃねぇかい。
設計者にとってのコミュニケプレゼンの重要性を理解できたと思います。しかし、そのコミュニケプレゼンに関して、営業向けや管理職向けの書籍やセミナーは豊富に存在していますが、技術者向けのそれが見当たりませんでした。
ひどい場合は、営業向けや管理職向けのコミュニケプレゼンセミナーに、技術者達を無理やり押し込んでいる企業も散見されます。
かつて、筆者も「聞く力」や「傾聴力」などと称するセミナーに強制参加させられました。受講者同士が向き合って「傾聴」する実習がありましたが、これまさしく、営業向けのコミュニケプレゼンセミナーで、閉口してしまいました。
技術者には“技術者の向け”の「コミュニケプレゼン」が必要です。
前回伝えたように、自分に合っていそうな道具は選んできたか?
私は「ラポール」と「3秒ルール」です。
僕は「6W2H」と「PDPC」かな。
おぉ、2人ともグッド・チューニング(Good tuning)だなぁ!
甚さん、もしかしてグッド・チョイス(Good choice)のことですか? チューニングだとクルマみたいですよ……ププッ!
べらんめぇ、ていした違えはねぇってきたもんだぜぃ!
第1回でも掲載した表1は、デパートや装飾店にあるショーウィンドウのようなものだと考えてください。お店では、まずショーウィンドウにの中にある商品の脇にある説明札を見ながらほしい商品を絞っていくと思います。そして2つか3つに絞り込んだら、店員さんを呼んで詳しい説明を受けますよね。本連載も、それと同じ進め方をしていきます。
つまりオレサマは、ハウスマヌカンって訳だ。
え? ハウス……何ですか?
カビ臭い単語ですね。
ガタガタ言うんじゃねぇ! いいか? 「ハウスマヌカン」とは、江戸弁で「女モンのブランド服を売ってる店員」のことだぁ!!
どう考えても外来語でしょ、それ。
いんや、江戸弁だ!!
あの、それはどうでもいいので、その先を教えてください。
……。
……そんじゃよぉ、コミュニケプレゼンスキルアップのための“技術者向けツール”の1番目が、「ラポール」だぜぃ。ラポールとはよぉ……。
ラポールとは「Rapport」とつづります。フランス語ですが、英語的には「ラポート」と発音します。どちらも既に外来の日本語になっており、マッサージ店やマンション、洋菓子店などの名前でもよく使われます。
「Rapport」を和訳すると、心理学用語で何々と出てくる場合もあるかと思いますが、本連載では「共有」もしくは「目的を共通」と訳します。
それでは、「ラポール」とは何か。良君とエリカちゃんに寸劇で解説してもらいましょう。
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