QNXがISO26262のASIL D準拠が可能なOSを発表、デジタルクラスタやADAS向けISO26262

QNX Software Systemsは、自動ブレーキなどの高度運転支援システム(ADAS)、デジタルクラスタ、ヘッドアップディスプレイなどの安全性が重視される車載システム向けのOS「QNX OS for Automotive Safety 1.0」を発表した。同OSは、ISO 26262の最も高い安全要求レベルとなるASIL Dでの認証取得の準備を進めている。

» 2014年06月05日 17時50分 公開
[MONOist]

 QNX Software Systemsは2014年6月4日(米国時間)、自動ブレーキなどの高度運転支援システム(ADAS)、デジタルクラスタ、ヘッドアップディスプレイなどの安全性が重視される車載システム向けのOS「QNX OS for Automotive Safety 1.0」を発表した。2014年7〜9月期にリリースする予定。

 QNX OS for Automotive Safety 1.0は、何らかの故障が起きた場合に自動車の乗員に危険をもたらす可能性がある車載システム向けのOSである。これらの車載システムを、自動車向けの機能安全規格であるISO 26262に準拠させて開発しようとすると、安全要求レベルを示すASIL(Automotive Safety Integrity Level)で高い水準を求められる。QNX OS for Automotive Safety 1.0は、ISO 26262のASILで最も高いレベルとなるASIL Dでの認証取得の準備を進めている。このため、車載システムをASIL Dに準拠させる場合には、OSにQNX OS for Automotive Safety 1.0を採用することは有用な選択肢になり得る。

 またQNX OS for Automotive Safety 1.0のISO 26262の規格認証では、QNXのツールチェーンコンポーネントの検証も含まれるという。つまり、OSだけでなく、これらのツールチェーンコンポーネントもISO 26262に準拠した車載システムの開発プロジェクトで使用できるわけだ。

 この他にも、ISO 26262に準拠した車載システムを開発する際のコストを削減する仕組みも取り入れている。例えばデジタルクラスタの場合、エンジン故障の警告ランプのように安全性が必要な機能と、エンジン回転数表示のように安全性が不可欠ではない機能がある。これらの機能を異なるハードウェアに分割すれば、安全性が不可欠ではない機能が故障しても、安全性が必要な機能にその影響が及ぶ可能性を大幅に削減できる。しかし、異なるハードウェアに分割すると開発コストが増大してしまう。

 QNX OS for Automotive Safety 1.0は、きめ細かなプロセス分離とメモリ保護によって、複数の機能を同じハードウェアで動作させる場合でも、1つの機能に関する不具合が他の機能に影響しないようにすることができる。

ISO26262−自動車向け機能安全規格−

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