なぜ、i3のレンジエクステンダー搭載モデルは、これほどCEV補助金が“お得”なのか。それは、CEV補助金の算出方法によるところが大きい。
CEV補助金は、車両の定価(税抜き)から、そのEVやPHEVのベース車両価格を基に算出した基準額(EVはベース車両価格に+50万円、PHEVはベース車両価格に+40万円する)を差し引いて、補助率を掛けて計算する。
i3のベースモデルの基準額が401万円であるのに対して、レンジエクステンダー搭載モデルは392万9000円。一方、車両定価(税抜き)は、ベースモデルが462万370円、レンジエクステンダー搭載モデルが505万5556円。そして、車両定価から基準額を引いて補助率の3分の2を掛け、1万円単位になるよう端数を切り捨てると、以下のようにCEV補助金を算出できる。
ベースモデル
(462万370円−401万円)×2/3=40万6913円≒40万円
レンジエクステンダー搭載モデル
(505万5556円−392万9000円)×2/3=75万1037円≒75万円
こうなるのは、i3のレンジエクステンダー搭載モデルの基準額が、ベースモデルとほぼ変わらないことが原因だ。本来は、基準額にレンジエクステンダーのコストを上乗せするべきだが、今回は反映されていないようだ。
今後もCEV補助金を同じように運用するのであれば、i3のように完全に新規開発したEVにレンジエクステンダーを搭載する場合には、ベースのEVよりも多額のCEV補助金が得られるようになる。
CEV補助金は、自動車からのCO2排出量を削減することを目的としている。しかし、今回のi3の事例では、燃料を消費しないEVよりも、燃料を消費するPHEVの方が補助金額が多くなってしまっている。新規開発のEVにレンジエクステンダーを搭載して販売する事例は今後も十分あり得ることから、今後は運用を見直す必要がありそうだ。
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