UHA味覚糖は、“地球外生物”へ広告メッセージを配信する「スペースアドプロジェクト」を開始。同社 代表取締役社長の山田泰正氏が自ら宇宙航空研究開発機構(JAXA) 臼田宇宙空間観測所にある巨大宇宙アンテナに上り、日本語で「世界初」(同社)となる地球外生物向け広告メッセージを発信した。
菓子・食品製造販売を手掛けるUHA味覚糖は2013年7月31日、“地球外生物”へ広告メッセージを配信する「スペースアドプロジェクト」を開始し、巨大宇宙アンテナを用い「世界初」(同社)となる広告配信を実施したことを発表した。
この歴史的な取り組みが行われたのは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の臼田宇宙空間観測所である。同観測所は、旧宇宙科学研究所の付属施設として1984年10月、長野県南佐久郡臼田町(2005年4月1日より長野県佐久市)に設立された。主に、惑星や彗星のような天体に接近して観測を行っている深宇宙探査機に向けて動作指令を送信したり、探査機からの観測データを受信したりする施設である。超遠距離にある深宇宙探査機からの信号は微弱であるため、都市雑音などの妨害電波が少ない場所が適しているという。
今回、宇宙に向けた広告メッセージの配信に用いられたのは、臼田宇宙空間観測所の中核を担う、日本最大級の宇宙通信用アンテナである。主鏡面パネルが直径64mの反射鏡となっている大型パラボラアンテナで、総重量は1980t(トン)。小惑星探査機「はやぶさ」プロジェクトで、はやぶさに信号を送り続けていたアンテナとして知られている。ちなみに、深宇宙探査機との交信はX帯(8GHz)で行われ、地球近傍の探査機との交信はS帯(2GHz)とX帯(受信のみ)で行われる。世界的に見ても、このような深宇宙探査機の追跡管制を目的として設けられた大型アンテナを保有する国は少なく、米国のNASA、欧州のESAとロシアのIKIと数えるほどしかない。
スペースアドプロジェクトの特設Webサイトでは、同社 代表取締役社長の山田泰正氏が、パラボラアンテナの先端にある副反射鏡の上部に上り、自らマイクで地球外生物に日本語でメッセージを発信する様子が公開されている。メッセージ音声は、主鏡面パネルに反射して宇宙に送られた。(※【修正:2013年8月2日】8月1日の報道向け発表で「副鏡から発声しましたが、アンテナによる電波放出は行っていません」との注釈が入ったため、前述の一文を取り消し線にてカットいたしました)
世界に数基しかない巨大宇宙アンテナを用い、同社は、新食感のかみ心地でストレスを発散できる「グミガーム」を地球外生物に訴求。「300℃を超える地表面。降り注ぐ宇宙線など、地球環境よりも過酷な環境に暮らす地球外生物は、そのストレスも大きいはずである。彼らこそ、グミガームの新しいターゲットだ」(同社)。また、同社は、広告メッセージの配信と同時に、地球外生物からの反応も探り、“地球先着1人”に衣食住をプレゼントするキャンペーンを実施している。
宇宙からの信号をどのように受け取るのか。探査機の場合、送られてくる微弱な信号が主鏡面パネルで集められ、上部の副反射鏡で反射された後、ビーム伝送部を経由して、アンテナ機器室の低雑音増幅器に導かれて増幅される。そして、増幅された信号は光信号に変換されて、光ケーブルを介し、研究棟に送られる。研究棟では、これを復調処理して、観測データや探査機の状態を示すデータを得るとともに、測距信号を抽出して距離を測定することとなる。
果たして、地球外生物からのメッセージは届くのか。
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