すごいぞスパークプラグ、2000℃に加熱してから急冷して高圧を掛けても壊れないいまさら聞けない 電装部品入門(9)(2/4 ページ)

» 2013年07月29日 11時20分 公開

スパークプラグの構造

 スパークプラグは電気的な部分と機械的な部分とを両立させた構造となっています。

 電気的な部分というのは、中心電極部と接地電極部間でのみ確実に火花を飛ばせるように、スパークプラグの中心を通っている中心電極までの電路をセラミックで覆っている部分のことです。セラミックによって、確実な絶縁性ならびに耐熱性を持たせています。

スパークプラグの構造 スパークプラグの構造

 電路には銅芯が圧入されており、中心部の熱伝導性を高めて瞬時に放熱できる工夫が施されています。

 一方の機械的な部分ですが、スパークプラグはとにかく過酷な環境に耐える必要がありますので、ハウジングの主な金属部分には特殊ニッケル合金が用いられています。また、シリンダヘッドへの取り付け面は非常に高い気密性が必要になりますので、特殊な形状を施したガスケットが用いられています。

シリンダヘッドに取り付けた状態 シリンダヘッドに取り付けた状態

 中心電極と接地電極の間では常に火花が飛んでおり、その火花による摩耗を防ぐことはスパークプラグの寿命に直結します。

 また、火花によって混合気が点火した瞬間に生じる火炎核は、すぐそばにある中心電極によって熱を奪われます。これを消炎作用といい、火炎の成長を妨げる邪魔な存在になっているのです。極端に消炎作用が働くと失火状態となり、その影響はエンジン性能の低下に直結します。

 そこで、中心電極の先端を少しでも細くして消炎作用を抑え、なおかつ耐摩耗性を高めるために、中心電極に白金やイリジウム合金のコーティング処理を施した高性能のスパークプラグも存在します。

イリジウムコーティングした中心電極の先端 イリジウムコーティングした中心電極の先端

 最近では、イリジウムコーティングしたイリジウムプラグの普及が進んでおり、排ガス規制や燃費向上のための必須アイテムとなっています。

 余談になりますが、イリジウムプラグは寿命が10万km(!)とうたわれていることが多くあります。ただし、それは中心電極だけでなく接地電極にもイリジウムコーティング処理が施されている場合だけですのでご注意を。

接地電極のイリジウムコーティング 接地電極のイリジウムコーティング

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