米PTCはユーザーカンファレンス「PTC Live Global 2013」を米国カリフォルニアで開催。その基調講演に立ったPTC社長兼CEOのヘプルマン氏は、製造業の変革を促す7つの大きな環境変化を紹介し「変革を促す新たな技術の採用が必要だ」と訴えた。
米国の大手PLMベンダーであるPTCは6月9〜12日(現地時間)、米国カリフォルニア州アナハイムにおいてユーザーカンファレンス「PTC Live Global 2013」を開催し、ユーザー企業やパートナー企業など世界中から約2000人が参加した。基調講演に立った同社社長兼CEOのジェームス・E・ヘプルマン(James E. Heppelmann)氏は、製造業の変革を促す7つの環境変化について紹介し「環境に対応し、変革を実現するためには新たな技術の採用が不可欠だ」と訴えた(関連記事:“星座のような”PLMを展開するワールプール、終わりなき旅へ)。
米PTCのユーザーカンファレンスは毎年恒例となっているが、今回のキーワードとなっているのが「Transformation(変革)」だ。製造業を取り巻く環境は大きく変化しようとしているが、ヘプルマン氏は「われわれの方向性を決める大きな7つの変化の力が働いている」と指摘し「PTCはその変化に対する製造業をサポートしていく」と強調した。
へプルマン氏が指摘する7つの力(7 Forces)とは、製品だけでなく市場やユーザーの使い方、製造業の生産や設計・開発の在り方まで大きな変化をもたらす動きのことだ。
その1つ目としてへプルマン氏が挙げるのが「デジタル化(Digitization)」だ。デジタル化は、第3の産業革命とも言われており、人々の生活に大きな変化をもたらしただけでなくエンジニアにとっての利益を生み出してきた。
「デジタル化により、多くの情報をリアルタイムで共有し、多くの情報を処理できるようになった。また生産をより小さな規模で行える3Dプリンタのような新たな仕組みも出てきた。その中で、PTCは早期からCADに取り組み、製造業のデジタル化の流れに貢献してきた」とへプルマン氏は話す。
2つ目の力が「グローバル化(Globalization)」だ。世界の距離は縮まり、経済的にもお互いに影響を与えあうようになった。その中で「製造業は最適地生産や現地設計など、よりグローバルを意識した取り組みが必要になってきている」とへプルマン氏は指摘。事例として、農機メーカーである米国AGCOがグローバル設計体制を整え、売り上げを伸ばしているケースを紹介した。
3つ目は「法規制(Regulation)」だ。グローバル化が進展する中、製造業は各地の法規制の影響を大きく受けるようになった。欧州の化学品規制であるREACHやRoHSなどの他、数多くの法規制が製造業の経営に影響を与えている。そのため、製造業は自社が購入する部品や素材などの他、サプライヤー管理などが重要になってきている。
4つ目の力としてへプルマン氏が指摘したのが「パーソナル化(Personalization)」だ。グローバル化でそれぞれの地域への対応が求められる中で、カラーバリエーション(機種)や機能バリエーション、デザインバリエーションなど、個々の顧客のニーズに応えられるようにするパーソナル化への対応が必要になってきている。
パーソナル化の例として、スウェーデンのボルボがトラックにおいてリバースイノベーション(新興国で生まれたイノベーションを先進国で普及させる)を活用し、30万台の出荷の中で10万バリエーションも用意するカスタム体制を整えたことを紹介。また一方「ハード的にバリエーションを作る体制を整える方法もあるが、スマートフォンのようにソフトウェアでバリエーションを生み出すことも可能。スマートフォンは個人の判断でアプリをダウンロードできるので“同じものが1つもない”パーソナル化を実現できている」(へプルマン氏)。
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