第24回 EMI対策と対策部品前田真一の最新実装技術あれこれ塾(3/3 ページ)

» 2013年05月29日 16時00分 公開
[前田真一実装技術/MONOist]
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4. テスト後のEMI対策

 これまでのノウハウやシミュレーションである程度考えられる放射ノイズ源を特定し、設計で対策しても、最後には実機で測定し、規格に収まっていることを確認する必要があります。

 電磁放射ノイズは基板回路の電気的対策だけで行うものではありません。ケーブルやハーネスの引き回し、筐体シールディングの構造など、機器全体で行う必要があります。

 設計段階で、これらすべての対策で放射ノイズを規格に収める設計が行われます。しかし、シミュレータがまだ十分にすべての条件に対応できていないため、実機測定で思いかけずに大きなノイズが発生しているのを発見することは良くあります。

 この場合にはノイズの発生源を確認し、ノイズを抑える対応を取る必要があります。しかし、製品の出荷が迫っていたり、時間をかけて原因を追究しても開発のこの段階では根本的な対応ができない場合など、原因がはっきりせずに対処療法で対応することも多くあります。

図7 図7 部品を実装していない(クリックで拡大)

 対処的な対応では、取れる対策は限られたものとなります。この段階では、筐体や基板の再設計は一般的には困難です。単純に終端抵抗の値を変えるだけであれば、基板のレイアウトは変更が無いので対応できますが、基板のレイアウト変更や筐体の形状変更は不可能です。

 基板によっては、後での対策ができるように終端抵抗やダンピング抵抗が追加できるように部品パターンを予めレイアウトしているものもあります(図7)。

 しかし、これは、基板の無駄な領域の浪費ですし、部品を実装しない場合には信号の特性を劣化させます。

 筐体では、コネクタや筐体間の接続を密にして、シールド効果をあげるための導電性ガスケットやICやケーブルに貼り付けて、電界と磁界の両方を遮蔽できるようにした特殊なシートを貼り付けたりします(図8図9)。

図8 図8 コネクタ取り付け穴と筐体を接触させるガスケット(クリックで拡大)
図9 図9 ICに貼った電界・磁界遮蔽シート

 このように対象に貼り付けるシールドはニアフィールドであるため、電界と磁界を分けてシールドする必要があります。また、ICに貼る場合にはICの放熱も考える必要があります。このため、熱伝導性の良いシリコンに磁界シールド用のフェライト粉や導電体粉を混ぜて熱伝導、磁気シールド、電界シールドすべてを満たすような部品も、高価ですが、あります。

 対症療法ではこのような高価な部品を使わざるを得ない場合も多々あります。


筆者紹介

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前田 真一(マエダ シンイチ)

KEI Systems、日本サーキット。日米で、高速システムの開発/解析コンサルティングを手掛ける。

近著:「現場の即戦力シリーズ 見てわかる高速回路のノイズ解析」(技術評論社)


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