三菱重工業は、宇宙太陽光発電システムの技術を電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)向けに転用した、マイクロ波方式のワイヤレス充電システムを展示した。2015年ごろの実用化を目指して開発を進めている。
三菱重工業は、「人とくるまのテクノロジー展2013」(2013年5月22〜24日、パシフィコ横浜)において、宇宙太陽光発電システムの技術を電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)向けに転用した、マイクロ波方式のワイヤレス充電システムを展示した。2015年ごろの実用化を目指して開発を進めている。
同社は、宇宙空間に設置した太陽光発電パネルの電力を地上に送る宇宙太陽光発電システムや、離島への電力供給を送電ケーブルを用いずに行う離島送電システム向けに、マイクロ波を使ってワイヤレスで電力を送電するシステムを開発している。
今回展示したEV/PHEV向けワイヤレス充電システムは、この技術を基にしたマイクロ波方式を採用している。マイクロ波方式は、電力をマイクロ波に変換して送電アンテナから送信し、車両側に搭載した受電アンテナでマイクロ波を受信してから再度電力に変換するというもの。
現在、EV/PHEV向けのワイヤレス充電システムとして検討されているのが電磁誘導方式や磁気共鳴方式である。これら2方式にないマイクロ波方式の最大の特徴は、システムコストを安価に抑えられることだ。マイクロ波方式で最も高価な部品となるマグネトロンは、1kW出力の電子レンジに用いられている量産品を用いれば1万円程度で済むという。
一方、最大の課題となっているが送受電効率である。電磁誘導方式は装置の損失を含めて80〜90%、磁気共鳴方式は装置の損失を含まずに80〜90%となっているが、三菱重工業のマイクロ波方式は装置の損失を含めて68%と幾分低い。今後は、この送受電効率を80%近くまで高めることが目標となる。
なおマイクロ波を用いたワイヤレス充電で気になる安全性については、「電子レンジと同程度なのであまり気にする必要はない」(三菱重工)という。
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