以上のプロセスから得られた多くの知見を基にして、商品コンセプトを明確にします。そして、技術課題解決のための具体策を講じる事になります。もちろん、それらの提案だけに留めず、時間軸を明示した技術開発計画を策定し、実行することが大切です。
特にBN課題についてはTRIZの適用により、従来とは違った視点でのコンセプト実現アイデアが生まれることが十分に期待できます。実際にTRIZの進化のパターンを活用してアイデアを考えてみました。
当然、品質表に存在する技術的矛盾や、他分野の知識を活用して「起伏の大きな部分で何かを刈り取る商品は無いか?」などの視点でアイデアを出していくことも可能です。
そしてそれらを組み合わせて考えるシステム化思考で、「凸凹のあるアンジュレーションでも均一な高さに刈れる芝刈り機」の商品概念図を作成してみました。
このような流れで、コンセプトマイニングとQFDを活用して新しい魅力(価値)を持った商品の企画が進むことが理解できます。
最後に、第1回で触れた「商品企画7つ道具」について説明します。商品企画つ道具とは、成城大学の神田範明教授が提唱している考え方です。新商品を企画するときに使用するとよい7つのツールについて、それぞれの目的と手法について補足します。
まずは、顧客のニーズやウオンツを探り、定性的/定量的に方向付けを行う市場調査の方法として以下の3つがあります。
そのデータを基にして独創的なコンセプトを発想する方法として以下の2つがあります。
また、価格と品質とのトレードオフ関係を見ながら顧客ニーズに合った最適なコンセプトを決定する手法として以下の1つ。
最後にそれらをまとめて商品コンセプトを明確にする手法が以下の1つです。
ここでは詳細な説明は割愛しますが、「商品企画7つ道具」でWeb検索すると、多くのWebサイトされているのでご参考ください。
以上、3回にわたり「コンセプトマイニングとQFDを活用した商品企画」について解説しました。ツールは使ってこそ、その効果を発揮します。そして使い続けることでツールの進化が進み、さらに新しい使い方ができるようになります。
今回の記事が、皆さまの新しい知見につながれば望外の喜びです。(完)
桑原 正浩(くわはら まさひろ)
熊本県生まれ。1985年鹿児島大学卒業。KYB(カヤバ工業)株式会社、オムロン株式会社で研究開発や商品開発に勤務後、技術問題解決コンサルタントとして独立。現在は、株式会社アイデア、コンサルティングセンター長。実務型TRIZコンサルタントとして、国内外企業の技術開発テーマの創造的問題解決のコンサルティングに携わる一方、大学や産業振興財団の中小企業支援育成事業、日科技連の次世代TQM構築PJなどでも活躍中。「TRIZで日本の製造業を元気にする」が合言葉。
著作物に「効率的に発明する:ロジカルアイデア発想法TRIZ」(SMBC出版)、「使えるTRIZ」(日刊工業新聞社「機械設計」連載)、韓国では「TRIZによる論理的問題解決:アイデアレシピ」(韓国能率協会出版)がある。ブログ「TRIZコンサルの発明的日常閑話」
Twitterアカウント:@kuwahara_triz
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