今回はゴルフ場で使用する芝刈り機を例に、コンセプトマイニングとQFDを使った新製品開発について解説する。
前回は、コンセプトマイニングとQFDを使って「顧客経験価値」という自己実現欲求に着目した商品企画プログラムの概要をお話ししました。今回、それを使って「ゴルフ場で使用する芝刈り機」の新商品企画の流れを解説します。
コンセプトマイニングとQFDを活用した商品企画プロセスについていま一度簡単に振り返ってみましょう。
コンセプトマイニングとは、「お客さまが商品によって感動したり歓喜したりする姿」を事前にデザインして、商品に織り込む方法でしたね。従って、以下のような4つの効果が期待できます。
いわゆる、商品ありきから始まる商品企画ではなく、お客さまの感動や価値観に焦点を当て、その姿を想像力の力で作り上げていくイメージということができます。
そのステップは、図1です。
では、実際に「ゴルフ場で使用する芝刈り機」について、コンセプトマイニングを使用した場合を説明します。
企業が、価格やコストのたたき合いから脱却するためには新たな競争軸を持った商品コンセプトが必要です。
今回は、手法の適用効果を示すため「業務用品」について実施してみました。なぜなら、業務用品の買い手はプロであり機能と価格が厳しく比較されますが、商品によって提案されて初めて新たなニーズに気付く場合もあるからです。また製造者側は「お客の要求など分かり切っている!」と思っていても、潜在ニーズを反映した確実な競争力を得る重要度付けが本当にはできていない場合もあります。そのための事例として業務用品である「ゴルフ場の芝刈り機」を採り上げました。
一般消費者が購入者であり、ユーザーでもある商品の場合はターゲットユーザーの絞り込みが比較的容易です。一方で、自動車用の部品やその関連システムなどのように最終商品を組み立てるセットメーカーが直接的な顧客の場合は、ターゲットユーザーの絞り込みが難しくなります。
その場合はまずターゲット企業を設定し、そこでの使用シーンを想定するとともに、最終商品に搭載され利用される状況も検討しなければいけません。
次にターゲットユーザー(企業)のプロファイルを検討します。このとき、商品が“B to B”である場合と、“B to C”である場合とではユーザーの種類が異なるので、注意が必要です。つまり一般的に“B to B”の場合は、購入品を選ぶ人物と、購入後に実際に使用する従業員という二重構造となる場合が多くなるのです。
また、商品の用途が業務用の場合と消費者用の場合とで購入者と使用者が別になる場合も多くなりますので、ターゲットユーザー(企業)のプロフィールをしっかり想定しなければいけません。
次に、ターゲットユーザーのプロフィールを参考にしながら、ユーザーの過去から現在、将来までのエピソードを“山登り表”を用いて自己実現シナリオ(ユーザーのありたい姿)の形に設定します。想像力をフル回転させてください。ターゲット企業としての“成長山登り表”と、その企業でのターゲットユーザーの“自己実現山登り表”をともに設定すれば、企画の精度が増します。
続いて、ゴルフ場の芝管理者の自己実現山登り表を同じように作成し、その中からキーワードを抽出します。
そうすると、以下を抽出できます。
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