仕事に対する満足度が高ければ、積極的な態度で仕事に望む。仕事の満足度が低ければ消極的になる。満足と不満をもたらす要因は、同じではない。
誰もがコミュニケーションの重要性は感じていると思います。家庭でコミュニケーションをうまく取ることができないと、夫婦ゲンカや親子ゲンカの原因となりますし、飲み会でコミュニケーションをうまく取ることができないと、シラケた雰囲気になってしまいます。
では、「あなたにとって、コミュニケーション力に優れた人は誰ですか?」と問われた場合、皆さんはどなたを思い浮かべるでしょうか。選挙戦で「立て板に水」のような演説をする政治家でしょうか。テレビでお笑いを提供する芸人さんでしょうか。または有名人に適切な質問のできるインタビュアーでしょうか。
滑らかな演説、笑いを誘うユーモア、適切な質問……、いずれもコミュニケーション力が高くないとできないことでしょう。では、ビジネスを円滑に進めるためにはどのようなコミュニケーションスキルが必要なのでしょうか。
今回は、ビジネスの場面でのコミュニケーションについて、読者の皆さんと一緒に考えていきます。
例えば、海を目の前にしてお腹の空いた人がいたとします。私たちがその人のお腹を満たそうとしたときに、「魚の釣り方を教えるパターン」と「魚を与えるパターン」があります。
魚の釣り方を教えれば、空腹感を覚えたら自分で魚を釣ればよいことになります。一方、魚を与えてしまえば、その人が空腹になるたびに誰かが魚を与えなければなりません。コーチングは前者のパターン、ティーチングは後者のパターンに当てはまるでしょう。
コーチングは「相手の正解を引き出すコミュニケーション」といわれ、ティーチングとは対局的な概念として扱われます。コーチングはコーチが相手の持っている正解を引き出し、その人の目標達成をサポートしていくコミュニケーションだということができます。対して、ティーチングは「教師が相手に答えを授ける」イメージになります。
以上をまとめると図1のようになります。
コーチングが機能するケースとして、以下が考えられます。
これに対してティーチングが機能するケースとしては、以下が考えられます。
上記を踏まえて、コーチングの具体的な技法を見ていきましょう。コーチングにはさまざまな技法がありますが、今回取り上げる技法は以下の4つです。
「聞く」という文字は「門構え」に「耳」と書きます。これに対して、傾聴の「聴く」は「耳」と「目」「心」から成り立っているように見えます。人の話を「聴く」ということは、「うなずき」「繰り返し」「言い換え」といった「体や言葉の反応」が生まれます。そのためには相手への興味が必要であることは言うまでもありません。
私たちは、人の話を聞く際に、「自分が言おうとすること」を考えながら聞く傾向があります。ただしこの聞き方は「自分(聞き手)が正解を持っている」ことが前提になります。もちろん、そのような聞き方が必要な場合もあります。
一方、「相手(話し手)が正解を持っている」という前提で話を聴くことは、「自分の中にある正解探し」をする必要がなく、頭を空っぽにして聴くことができます。このような聞き方が、傾聴においては重要といえるでしょう。
傾聴をすることにより、相手は「聞いてくれた感」「分かってくれた感」を覚えて、コミュニケーションが深く円滑になりやすいのです。
質問は、その回答によって2つの種類があります。
「オープンクエスチョン」は「質問に対してイエス・ノーで答えられない質問(回答がオープン)」で、「クローズドクエスチョン」は「質問に対してイエス・ノーの回答しかできない質問(回答が限定的)」です。
例えば「今日はどのような交通手段で来たのですか?」はオープンクエスチョン、「今日は電車で来たのですか?」はクローズドクエスチョンということになります。
図2にそれぞれの質問の仕方のメリット、デメリットをまとめました。
これらを意識して質問をしていくことで、コミュニケーションの目的を達成します。
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