新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、複数台の大型トラックを時速80km/車間距離4mで自動運転・隊列走行させて、燃費を15%以上向上できる技術を開発した。いすゞ自動車、日野自動車、三菱ふそうトラック・バス、UDトラックスの大型トラックをベースに製作した実験車両による実証実験にも成功している。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2013年2月25日、複数台の大型トラックを時速80km/車間距離4mで自動運転・隊列走行させることにより、安全性と燃費を向上できる技術の開発成果を発表した。同技術を用いれば、後続の車両にかかる空気抵抗が減るなどして、燃費を15%以上向上できる効果が得られるという。さらに、いすゞ自動車、日野自動車、三菱ふそうトラック・バス、UDトラックスの大型トラックをベースに製作した実験車両による実証実験にも成功した。
大型トラックの自動運転・隊列走行技術は、NEDOが2008〜2012年度の5カ年で進めている自動車交通分野の省エネルギー対策を追求した「エネルギーITS推進プロジェクト」の基で開発されてきた。2010年9月には、大型トラックを3台使って、時速80km/車間距離15mで自動運転・隊列走行できるという成果を発表しているが、開発の最終段階を迎えた今回は、さらに技術を高度化して車間距離を従来比で約4分の1となる4mまで縮めた。
自動運転・隊列走行に必要な要素技術は5つある。1つ目は、各車両の位置を認識して隊列を形成し管理する「隊列形成」である。2つ目は、道路端の白線を認識して車両の操舵を制御する「車線保持制御」。3つ目は、車車間通信と車間距離検出を用いて車間距離を制御する「車間距離維持制御」だ。4つ目になるのが、障害物を検出し、車線変更や非常ブレーキ制御を行う「障害物との衝突回避制御」である。最後の5つ目は、道路の分合流部や、降雪や悪天候などによって白線認識を行えない時に先行車を認識して追従走行する「先頭車追尾制御」だ。今回の発表では、大型車と小型車が混在する状況でも、これら5つの要素技術を用いることで、自動運転・隊列走行の実験に成功したとしている。
さらに、開発した要素技術の汎用性を向上させ、隊列走行の早期実用化にもつなげるため、国内商用車メーカー4社が市販している大型トラックをベースに、車車間通信を用いた車間距離制御技術と前方障害物認識技術を搭載した実験車両を4台製作した。使用した大型トラックは、いすゞ自動車の「ギガ」、日野自動車の「プロフィア」、三菱ふそうトラック・バスの「スーパーグレート」、UDトラックスの「クオン」である。
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