セコムは、敷地内に侵入した不審者や不審車両の特徴を迅速かつ確実に捉えることを目的とする自律型の小型飛行監視ロボットを試作開発した。民間防犯用として“世界初”だという。本稿では、試作機の概要をお伝えすると同時に、自律飛行の様子やホバリングしながら不審車両のナンバープレートを撮影する様子などを多数の動画で紹介する。
防犯・警備・セキュリティサービスなどを手掛けるセコムは2012年12月26日、民間防犯用として“世界初”をうたう「自律型の小型飛行監視ロボット」の試作機を報道陣に披露した。
試作ロボットは、敷地内への侵入に迅速に対応し、不審者や不審車両の特徴を確実に捉えることを目的とする。建物に侵入される前の段階、例えば、駐車場への侵入などの段階から早期に対応・対策したいという同社の長年の願いを実現するロボットだという。
今回の研究開発は、創立50周年記念イベント「セコムフェア 2012」において、同社が“2025年までに実現する近未来サービス”として掲げた37項目のうちの1つ、「小型飛行ロボットを利用した(セキュリティ)サービス」の実現に向けた活動の一環である。「小型飛行ロボットを利用したサービスは、近未来サービスとして掲げた項目の中でも早い段階、2015年、できれば2014年度中には実現したい」とセコム 代表取締役社長 前田修司氏は語る。
小型飛行監視ロボットによるセキュリティシステムの概要は次の通りだ。
水平方向180度、30m先まで監視可能な屋外侵入監視センサー「セコム レーザーセンサー」をあらかじめ敷地内に設置。認証用のICタグを保持していない不審者や不審車両が監視対象の敷地内に侵入すると、それをレーザーセンサーが検知し、無線通信により不審者・不審車両のおおよその位置情報を建物内にあるコントローラに送信する。その情報を基に、制御装置が小型飛行監視ロボット側に操作信号を送る。信号を受け取った小型飛行監視ロボットはロボポート(格納庫)から即座に離陸し、位置情報を基に自動航行を開始。小型飛行監視ロボットに搭載されているレーザーセンシング技術および画像認識技術、人物追跡技術などにより、対象に接近、映像の撮影・送信を行う。撮影された映像は、建物内にあるセキュリティシステムを経由し、セコムのコントロールセンターに送られる。
「例えば不審車両であれば、その周囲を旋回し、車両の縦方向・横方向の長さを検出し、短い方、つまり車両の前方か後方側に回り込み、ナンバープレートを含めた状態で撮影を開始できる」と前田社長。
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