ジャパンブルーエナジー、大和リース、豊田通商、三井化学の4社は、下水汚泥から水素ガスを製造する技術の実証実験に着手する。同実証実験には、4社に加えて、トヨタ自動車と大和ハウス工業がオブザーバとして参加する。
ジャパンブルーエナジー、大和リース、豊田通商、三井化学の4社は2012年9月10日、下水汚泥から水素ガスを製造する技術の実証実験に着手すると発表した。同実証実験は、4社に加えて、トヨタ自動車と大和ハウス工業がオブザーバとして参加するHIT(Hydrogen Innovation Town)事業研究会が行う。
4社が2011年11月に結成したHIT事業研究会は、ジャパンブルーエナジーのバイオマスガス化技術「BLUEタワー」を使って、通常は焼却処分される下水汚泥から水素を製造することを目指している。
現在、水素を製造する際の主原料には化石燃料が使用されている。下水処理場にBLUEタワー技術を導入して水素を高効率に製造できるようになれば、下水汚泥を有効利用できる上に、化石燃料の使用量も削減できる。加えて、その地域で排出された下水汚泥を使って水素を製造し、燃料電池車やエネファームなどの定置型燃料電池に供給できれば、地産地消型の「水素イノベーションタウン」を実現できるという。
同研究会は2012年3月から、ジャパンブルーエナジーが所有する、1日当たり1トンのバイオマス原料を投入できるBLUEタワーの実証プラント(島根県出雲市)で運転試験を実施。下水汚泥を加熱ガス化して、水素を主成分とするガスが得られることを確認している。2012年度末までに、同実証プラントで連続運転試験を実施して、下水汚泥を原料とする水素の製造技術を確立させる。2013年度には、1日当たり15トンの原料投入が可能な商用規模のプラントを構築して、1時間当たり190m3の水素製造を目指す。
BLUEタワー技術は、バイオマスを加熱するための熱媒体としてアルミナボールを使用することを特徴としている。熱分解器にある木質チップや下水汚泥といったバイオマス原料が、高温に加熱された多量のアルミナボールに接触すると、メタンなどのバイオガスが発生する。さらに、改質器でより高温のアルミナボールと水蒸気にバイオマスガスが接触すると、水蒸気改質反応が起こって水素が生成される。
このアルミナボールの循環によって、熱が熱分解器や改質器などに伝わるだけでなく、従来のバイオマスを原料とする水素製造プラントの機器トラブル(閉塞など)の主要因となっていたタールの発生を抑制・除去できるという。
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