誰よりも早くまんじゅうを奪え!――NHK大学ロボコン2012勝敗を左右するのは手動ロボと自動ロボの協調(2/3 ページ)

» 2012年06月26日 10時30分 公開
[大塚実,@IT MONOist]

 今年の競技の大体の流れは以下の通り。

 まず、手動ロボがスタートし、トークンと呼ばれる大きなコインをスタンドから取る。それをトンネルまで持って行き、手前にあるトークンボックスに入れる。

photo トンネルとトークンボックス。ロボットアームで、直径30センチ、厚さ2センチのトークンをここに投入する

 トークンが入ったら、自動ロボが動けるようになる。自動ロボの最初の仕事は、共通ゾーンに置かれているカゴを取り、手動ロボのゾーンまで運ぶこと。カゴは2つ並んで置かれており、どちらを取るかは自由だ。

photo 共通ゾーンのカゴ。どちらを取っても構わないが、左側の方が双方から近く、できればこちらを取りたい

 フィールドは各チームの領域に分割されているのだが、この共通ゾーンだけは双方が利用する。最初にポイントとなるのはこの攻防だ。自動ロボのスタート地点から直進するだけでいい手前のカゴの方が有利だが、もし相手に先に取られた場合は、すこし遠い奥側のカゴを取りに行かないといけない。

 NHK大学ロボコンは対戦形式とはいえ、基本的にはタイムレースであるが、この場所のみ、相手に“干渉”することが可能。もし相手の方がベストタイムで上回っていたとしても、手動ロボが頑張ってここで先行すれば、相手の妨害になり、勝てる可能性が出てくる。先行すれば相手の焦りを誘って、人間が操縦する手動ロボがミスすることもあるだろう。戦術の見せ所である。

 手動ロボはトンネルを通過した後、コレクターロボを持ち上げ、それを自動ロボが待つ場所に運び、上に乗せる。自動ロボはコレクターロボを乗せたまま“橋”を渡り、饅頭(まんじゅう)タワーがある“アイランド”に到着。コレクターロボは段差を乗り越えて、饅頭タワーまで進む。その間に手動ロボはカゴを拾って、大急ぎで戻り、それを饅頭タワーそばの置き場所に設置する。

photo 手動ロボは、「C」の場所に置かれているコレクターロボを持ち上げ、「A」の場所で待機する自動ロボの上に乗せる。道は狭くて入り組んでいる
photo 写真中央の“橋”は高さ30センチ。自動ロボには、コレクターロボを乗せて斜面を上るだけのパワーが必要だ
photo 最終決戦場の“アイランド”。饅頭タワーのそばに行くには、20センチの段差を乗り越えて上陸しないといけない

 これで“饅頭”を取る準備が整った。“饅頭”は上段、中段、下段にそれぞれ置かれているが、最初に取ってカゴに入れることができるのは中段と下段のみ。それができて初めて上段に挑戦することができる。また中段と下段はコレクターロボが単独で作業するが、上段のみ、手動ロボがコレクターロボを持ち上げる必要がある。

photo 饅頭は低密度ポリスチレン製で、大きさは上段が直径20センチ、中段・下段が同15センチ。上段には饅頭が1個ずつしかない

 今年の競技であるが、昨年の「ロイ・クラトンの火をともせ!」に比べると、試合展開はスピーディ。昨年のベストタイムが1分23秒であったのに対し、今年のベストタイムはたったの44秒だった。一方、課題達成チームは、昨年の予選では2チームしか出なかったのに、今年は6チームにまで増加。競技では得点も計算されているが、勝つためには課題達成が必須と言える状況になっており、得点にはあまり意味がない。

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