最後に、S&OPを活用して予算管理のあり方を変えていくことで、何が変わり、どのような効果が期待できるのかをまとめてみましょう。
予算偏重経営 | S&OPによる脱予算の進んだ経営 | |
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評価指標 | ・財務指標偏重評価 ・財務指標間での整合 ・結果指標重視 ・絶対評価 ・財務(一般標準)指標評価 |
・財務/非財務指標の複合評価 ・財務/非財務含む多指標間の整合管理 ・先行指標重視 ・多面的評価/評価の相対化 ・事業/製品の独自指標での評価 |
計画の考え方 | ・サイクリック/周期的見直し ・期間価値(期間目標=予算) |
・ローリング/随時継続見直し ・継続的価値 |
計画立案の主眼 | ・予算を達成するかしないか ・1つの目標の達成 ・自部門の目標の達成 |
・今後事業がどのように変化するか ・環境変化に合わせた連続的コントロール ・全体最適の施策の選択 |
「業績評価の変更による変動対応力向上・迅速化」
「予算主義=予定落着点主義からの脱皮」
たった1つの予算と、それを実現するためのたった1つの活動計画は危険です。きっちり積み上げて1つの予算を作り、後はパタパタと積み上げれば予算は達成しますよ、という考え方では、昨今の事業環境変化に適応することは困難です。
財務目標のハードルを越える実行計画は1つではありません。変動対応への「備え」として、どれだけ「計画」を用意できるかが重要です。その手段としてS&OPを活用できるのではないでしょうか。
金額の単純積み上げだと、単品赤字の製品は品揃えできないって言われるけど、何とかなるかもしれない。組み合わせ受注物件の利益率なんかシミュレーションをしたいなあ。切り替えサイクルも考えると、何カ月が先までみないといけないか。
今使ってる予算以外の評価指標も目標達成したらOKだから、予算管理の問題と同じなんだ。
(Oさんの抱える課題はこちらを参照)
S生産計画グループマネジャー
調整会議の前日は、Nさんが深夜まで表計算ソフトとにらめっこして、なんだか数字いじってるのは、この問題だ。予算職人が完璧な計画を作っても、みんな中身分かってないし。
今あるリソースがどのくらい稼働して、どのくらい余力があるのか、余力を他に充当できるのか、っていう問題なら対処できるんだけど。それをシステムでROI何%とかはじいてくれれば手間も減りそうだ。
事業計画も製販調整もバラバラで当てにならないと思っていたが、S&OPで両方をつなげば、現場へ指示を出すのもずいぶん楽になるし、しっかり販売戦略を練ることもできそうだ。
ただ、S&OPを実施しようとしても、さまざまな部門にも協力してもらわないと難しい………。
手始めに予算部門に話をするとして、S&OPのメリットをどのように伝えれば良いだろうか?
(Oさんの抱える課題はこちらを参照)
S&OPを使用すれば、社長やO営業事業統括本部長も巻き込んで、需給方針を共有する仕組みが作れるだろう。欠品や在庫の懸念も、全社の問題として議論してもらえるので、毎月の気苦労も減りそうだ。
しかし、正しいデータに基づいて計画を立案しなければ、上司への説明ができなくなりそうだ。
(Sさんの抱える課題はこちらを参照)
次回は企業における業績予想の重要性とS&OPプロセス導入の利点を中心に見ていきます。お楽しみに。
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