川田工業は、同社の双腕ロボット「NEXTAGE」を複数使った連携作業のデモを行っていた。NEXTAGEは頭部にステレオカメラ、手先にハンドカメラを搭載しており、部品や工具の位置を確認しながら作業できるのが特徴。可搬重量は片腕1.5kgと小さいが、サーボモーターは全て80W以下の低出力になっており、人間と同じ環境で作業しても安全だ。
三菱重工業が展示していたのは、「MARS-D」と「MARS-i」という2種類のレスキューロボット。MARS-Dは双腕マニピュレータを持つロボットで、ドアの開閉、鉄骨の切断、放水や除染などの作業が可能。MARS-iはカメラを搭載した情報収集用のロボットだ。
この2体はもともと原発の保守・点検用に開発されたもの。開発後、長らく使っていなかったためにすぐには動ける状態ではなかったが、東京電力・福島第一原子力発電所の事故後に整備して、再び動かせるようにしたという。福島第一に投入済みの国産ロボット「Quince」は本来原発事故を想定しておらず、放射線への防護対策は取られていないが、この2体は電子部品をユニット化しており、ある程度被ばくしたら交換して使い続けられるようになっている。
クローラを使った走行システムを持ち、階段の上り下りも可能。MARS-Dは階段の昇降時、ボディ部が上方にスライドして、下方に倒れないよう工夫されている。またクローラを立てて、腕を畳むとコンパクトになり、階段の踊り場のような狭い場所でも方向を変えることができる。
東電からの出動依頼はまだないそうだが、原子炉建屋の内部は依然として高い放射線量の状態が続いており、この2体の活躍も期待したいところだ。
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