3D以外でも画像処理ソリューションはめじろ押しだった。
JPEG IPコアで知られるシキノハイテックは、新規格「JPEG XR」に国内で初めて準拠したIPコア「KJN-X1」を展示。処理性能は2倍速で1クロック当たり2ピクセルという。可逆圧縮方式、8ビット超の色情報に対応するJPEG規格としてはJPEG2000もあるが、「JPEG2000はハードウェア規模が大きく(同社によればJPEGの15倍)、一部の産業機器を除けばあまり普及していない。それに対して、ハードウェア規模が比較的小さく(同じくJPEGの8倍)、マイクロソフトもサポートするJPEG XRはデジカメなどのコンシューマ機器での普及が見込まれる」(説明員)としていた。
標準規格のJPEGに対抗して独自の画像圧縮ライブラリ「StarPixel」をプッシュしていたのがNECだ。StarPixelは、金星探査機「あかつき」でも撮像画像圧縮に使われているという。「効率的な圧縮アルゴリズムを持ち、JPEG XRと比較して同等の圧縮が10分の1の処理負荷で可能になり、ハードウェア資源の限られた組み込み機器でも高画質データの保存・伝送が容易になる」(説明員)と、今後は民生品にも適用していく考えのようだ。
テクノマセマティカルもソフトウェアソリューションとして各種ソフトウェアコーデックを訴求していた。デモの1つでは、CPUコアにARM Cortex-A9 NEONを搭載するルネサス エレクトロニクスのモバイル向けSoC「EMMA Mobile/EV2」上で同社のH.264ソフトウェアエンコーダを実行し、解像度WVGA/VGA、フレームレート30fpsのリアルタイムエンコーディングを実現して見せていた。「数学的手法により演算負荷を削減する当社独自のアルゴリズムを用いているため、ARMコア上でも十分な性能が出る」(説明員)。
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ESEC会場では、新感覚のインタフェース技術も注目されていた。
東芝情報システムは、フィンランドSenseg社の「E-Sense」と呼ぶインタフェース技術を展示。フィルム上の電界変化により、フィルムに触れたユーザーに任意の触覚を与える。デモの仕組みは、絨毯(じゅうたん)、レザー(革)などを撮影して形状を数値化し、それを基にPC上の専用ソフトウェアで疑似的な触感(電界変化パターン)を作成。PCに接続する専用パネルに触れることで触感が得られるものだった。確かに、それぞれの物質に近い触感はあった。「E-Senseの用途としては、例えば、スマートフォンのタッチ操作にリアルな触感を与えることができる」(説明員)としていた。
菱洋エレクトロが展示していた韓国WorldBridge Technology&Trade社の「マルチタッチメディアボード」も斬新なインタフェースだった。マルチタッチ対応デジタルサイネージシステムの同製品は、マルチタッチ、3Dレンダリング、ラージスケールのマルチメディアプロセッシングと3つのエンジンがWindows OS上で動作する。動画・静止画など最大20ファイルまで同時再生が可能で、多点タッチ操作によるファイルのスクロール、拡大・縮小、回転に対応している。説明員は「大画面モニターでここまでスムーズなタッチ操作が可能なのは珍しいはず」と自信を見せていた。
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