NXPセミコンダクターズは、同社が開発を進めているエッジ環境にAIエージェントを組み込むための開発ツール「eIQ Agentic AI Framework」をはじめエッジAI戦略について説明した。
NXPセミコンダクターズ(以下、NXP)は2026年2月12日、東京都内で会見を開き、同社が開発を進めているエッジ環境にAI(人工知能)エージェントを組み込むための開発ツール「eIQ Agentic AI Framework」をはじめエッジAI戦略について説明した。
日本法人のNXPジャパンで代表取締役社長を務める和島正幸氏は「エッジAIの普及を考えるとき、どこにいても通信でつながる以上、クラウド上でAIの推論を実行するクラウドAIで十分ではないかと私自身思うこともあった。だがやはり、手元のデバイスでAI推論を行うエッジAIは必要だ」と強調する。
和島氏はエッジAIの必要性を訴える理由として、足元でAIデータセンターの需要がタイトになっていることを挙げた。またAIデータセンターにおける消費エネルギーも問題になってきている。さらには、クラウドAIの利用が増えることで通信の混雑が悪化することも大きな課題だ。「コンピューティングコスト、通信コストの上昇を考慮すると全てのデバイスがクラウドにつながってAI処理を行うことはあり得ない。さらにクラウドAIでは、セキュリティとレイテンシの問題も出てくる。だからこそNXPセミコンダクターズはエッジAIへの投資を強化している」(同氏)。
その代表的な投資施策となるのが、エッジでAI推論を効率良く実行するNPU(Neural Processing Unit)を手掛けるKinaraの買収だ。KinaraはディスクリートNPUとして第1世代の「Ara-1」と第2世代の「Ara-2」を展開しており、既に幾つかの企業に採用されている。Ara-2は、RISC-Vの活用による高効率のAI推論が可能で、定格6Wの消費電力で40TOPS相当のAI処理性能を実現できる。
和島氏は「KinaraのNPUの技術をベースに、エッジ環境においてセンサーで検知した情報から状況を判断し、アクチュエーターを動かすというAIエージェントによる自律的制御動作の実現を目指す。そのための開発ツールがeIQ Agentic AI Frameworkだ」と語る。
NXPは、AI技術の進化を3段階に分けて捉えている。1段階目の「Perception AI(認識AI)」は「Sense」の機能を持ち、2段階目の「Generative AI(生成AI)」ではさらに「Think」の機能を得た。そして3段階目に当たる「Agentic AI(AIエージェント)」は、「Sense」と「Think」に加え、和島氏が述べた自律的制御動作に当たる「Act」が可能になる。
そして、AIエージェントの「Sense」「Think」「Act」の機能をNXPの製品に対応させた場合、「Sense」はアプリケーションプロセッサの「i.MX」、「Think」は買収したkinaraの「Ara-1/2」、そして「Act」はマイコンの「MCX」が担うという構成になる。eIQ Agentic AI Frameworkは、これらNXPの製品向けに最適化されたAIエージェントのフレームワークだ。
一言でAIエージェントといっても、その内部ではLLM(大規模言語モデル)をはじめさまざまな生成AIモデルを連携することによって機能を実現している。eIQ Agentic AI Frameworkでは、これら多段階のAIエージェントワークフローを迅速にNXP製品によるエッジAI環境に実装できるような仕組みを用意している。また、Google ADKなどの既存のAIプラットフォーム、エージェント間通信を行うA2A、MCP(Model Context Protocol)、OpenAI APIなどの業界標準をに対応しており、最新のAIモデルを活用できるようになっている。
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