では、それぞれの寸法の係数を入れていくよ! 係数が1なのはNo.1とNo.8の中心を測定する穴の位置だけだね。あとの寸法は測定穴と両側の取り付け穴の距離は等間隔だし、係数は0.5ですね(第4回参照)。よし、入力しちゃお!
次に、係数×公差の値を使って二乗和平方根とワーストケースで計算ネ
おー、計算できました!
オマケに公差寄与度まで付けちゃったYO!
こうやってまとまってると、見やすいわね
確かに。これで公差解析の結果も誰が見ても分かるようになったね。後は図面と寸法の名前がひも付いていたらうれしいけど……
リョウ先輩、全部同じ数字の公差値も見直しましょ
そうだった……。試しに、公差寄与度の高い寸法だけ公差を±0.05にしてみるよ。これ、Excelに関数で入れておけばすぐに結果が出るから便利だね!
お、ホントだ。こりゃ作った方がイイに越したことはないな
イエース! みんなミーのExcelシートにシビレタみたいネ! 遠慮なくマネしていいYO
何か上から目線ね……。まあいいわ。今回はリョウ先輩が発見した巻物のおかげで勉強できたのよ! ありがとうございますぅ、リョウ先輩
うーん、どうしてカプセルから出てきたのかは分からないけれど……ま、いまの仕事にも使えそうだしヨカッタとするか。おじさん、ありがとな! ――はっ、いない!!
そしてミキさんの耳が、いつの間にかリョウ先輩のヘルメットに……!
おー、似合いますねー
リョウ先輩カワイイ……このまま一緒にアキバに行きましょ。お似合いですよ。おススメのカフェもあるし。ココ、先輩と一緒に行きたいな、駄目?
ちょ、ちょっと、ほかの社員に見られたらっ! 笑いモノに!!
そしてリョウはココに引きずられるようにJR総武線に乗せられ、彼らのアジト(玉よし荘)へと連行されるのでした……。
今回は公差解析につきものの「影響する寸法の抜けや漏れ」が起こらないようにするには? ということで実際のプロセスを3段階にわたって紹介しました。
まずはおじさんがいうように、ポンチ絵は手を動かして構造を理解することができるので非常に有効です。きれいに描く必要はありません。自分で理解できれば十分です(筆者は絵心がないので、いつも残念な仕上りになります)。
そして部品のつながり。これはポンチ絵を基に、部品間の関連性寸法の抽出ができればそれで十分です。このつながりの描き方は、実は、複雑な構造になってくるとテクニックが必要になる部分でもあります。
最後に係数の正しい算出。これは過去の記事でも説明しましたが、一番忘れやすく、間違えが起こりやすいフェーズです。抽出した寸法を1つ1つ、組み立てたときの品質との関係をきちんと確認しましょう。
今回おじさんがExcelにそれぞれの情報をまとめてくれましたが、この方法はすでに多くの設計者の方々が既に行っているかと思います。視覚的な理解と情報共有、両面から見ても有効なので、まだの方はぜひ試しに作ってみましょう!
そして今回の例題は故意に寸法公差で長さ寸法だけを駆動しました。しかし本来は「3次元で」考える公差設定と公差解析が必要です。これは次のステップとして、別の機会に説明します。
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