「東京都市大学」という名前、あなたはご存じだろうか。同校は2009年に改名したばかりなので、まだご存じでない方も多いかもしれない。こちらは、武蔵工業大学の新しい名称だ。
東京都市大学の車両は、昨年度まで単気筒エンジンを採用してきたが、今年から4気筒エンジンに挑んだ。「単気筒エンジンへのこだわり、そして勝利というたった1つの目標への熱い思いが込められている」という同チームの会報タイトル「SOUL OF SINGLE」はいったいどうなってしまうのか!? それはひとまず置いておいて……。
昨年まで、あの手この手と、エンジンを工夫しパワーアップを図ってきた同校だが、信頼性や走行距離が損なわれてきてしまったという。今年は、走行距離も稼げて、パワーも容易に出せ、さらに信頼性も損なわないマシンを目指した。その一環として、4気筒エンジンを採用した。
「武蔵工大時代からコンパクト・軽量を特徴としてきたので、それは絶対変えてはならないと思いました」(東京都市大学 チームリーダー 水野 茂洋さん)。
4気筒エンジンはサイズが大きく、それにはどうしても不利になり、正直、なかなか厳しい設計になったとのこと。ほかの部品の距離を地道に縮め、ドライバーとエンジンの距離も極力近くするようにした。地道な試行錯誤を繰り返し、4気筒を採用している日本の学生フォーミュラ車両では、ナンバーワンではないかというぐらいの小ささまで詰めることができたという。「昨年度の車両サイズのまま、エンジンだけ強くするという目的は達成できました」(水野さん)。ホイールも、昨年と同様、10インチホイールを採用。単気筒と4気筒の本質的な違いを同じ条件で比べたかったことも、その理由の1つだという。
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猛暑の中、エンデュランス走行した東海大学の車両。「(当チームの車両は)ラジエータのサイズが小さく、ぎりぎりかと思いましたが、大丈夫でした」と東海大学のチームリーダー 伊藤 翔さんはいう。
東海大学チームは2009年(第7回)の車両で2気筒エンジンを採用したが、今年は出力向上を狙い2008年度車両で採用していた4気筒エンジンに戻した。2009年度の車両と比較し、全長は同等、全幅については107mm短縮したとのことだ。
同校のフォーミュラチームは今年、ラジエータにつながる吸気パイプを一体成形で手作りした。「肉厚1mmのパイプに砂を詰めて、あぶりながらゆっくりと曲げていきます」(伊藤さん)。力任せに曲げるのではなく、まずは集中的に曲げたい個所をあぶり、徐々にほかの個所も曲げていくのがポイントだという。パイプの接合部品を減らし、アルミパイプのみの構成にしたことで、部品点数の削減および車重の軽量化を図った。このパイプは、車雑誌のレーシングカーのエンジンルームの写真を基に再現したとのことだ。「プロのレースカーには、無駄なものがないはずだと考えました」(伊藤さん)。
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⇒ | Tokai Formula Club |
京都大学チームは、大会終了後にいつもは夏休みを取っていたが、今年度はそれを返上して設計に臨んだ。設計の諸元をある程度決めてしまうと、各担当に設計課題を振り、1カ月で完了させたという。そして、直ちに製作に着手。最適な優先順位を決め、効率よく製作に取り組んだとのことだ。「地面に車が降りることが第一なので、まずはシャシーから製作に取り掛かりました」(京都大学 チームリーダー 高橋 忠将さん)。
シェイクダウンを早く終わらせ、1000km以上(通常は、500km行くか行かないかだという)走り込んで大会に挑んだ京都大学。その甲斐(かい)あって、エンデュランス審査は第2位。
同校の車両は、昨年度と比べ大きな設計変更はないが、地道なブラッシュアップを重ねて大きな改善を目指した。フレームはレギュレーション対応やドライバビリティを考慮し、大きめになったが、それをキャンセルするほどに重量は詰められたとのことだ。
吸気系の評価では、吸気管長さの中央パイプ部を3つに分割し、長さを入れ替え条件を変えつつ、どれが一番適切な長さか検討した。
同校は、ベルクランクなど2次元で形状が定義できるパーツに関して、トポロジー最適化解析を取り入れたとのことだ。
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次回も、出場常連校 工学院大学の“人間金型”!、元祖・モノコック車両 豊橋技術科学大学、そして昨年度優勝校・東京大学など、話題盛りだくさんでお届けする。(次回に続く)
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