今年の横浜国立大学の車両設計は、コーナリング時のドライバビリティと旋回性能に着目したという。「コーナー進入時の旋回、脱出……など一連のコーナリング性能すべての底上げを目指しました」(横浜国立大学 チームリーダー 後藤 航さん)。
車両重量は、225kgから210kgに落としたが、サスペンションの性能を妨げない剛性と、軽量化のバランスを図ったとのことだ。「各部材に掛かる荷重を計算し、静的解析を繰り返しながら、最適な形状を割り出しました」(後藤さん)。
昨年の車両で懸念となっていた、ドライバーのポジションも改善した。昨年よりも、ドライバーを寝かせるようなシート形状にし、低重心を狙った。エンジンも、オイルパンを加工することで昨年より5mm下げた。それらの工夫により、昨年の車両と比べ、トータルで16mm重心が落ちたとのこと。
同校はオートクロスで第1位となり、4日目のエンデュランス審査は1番目に走行した。「天気に恵まれず、動的審査の結果はあまりふるいませんでしたが、すべて完走でき、大きなトラブルもなく終了しました」(後藤さん)。
「浜松から、一陣の風を吹かせ!」――彼らが背負う「浜風」の文字にはそんな思いが込められている、静岡大学のフォーミュラチーム(同校 工学部のキャンパスが、浜松市にある)。
今年の静岡大学の車両は、軽量化に重点を置いた。「エンジン回りの吸気パーツをGRRPからCFRPに変更しました」(静岡大学 チームリーダー 平城 眞太朗さん)。昨年、10kgあったカウルも大幅に軽量化した。
電装系では、センサ類を多く取り入れ、マシン性能の数値化を行い、データを旋回性能向上に役立てたとのことだ。
また旋回性能を向上させるために、エンジンとドライバーが重心付近となるよう配置するなど、マシン重心に重量を集中させるように設計。昨年度まではドライバーのフィーリングに頼った評価をしていたという。
同校の車両は、2009年度までの東京大学と同様、サイドエンジンレイアウトの車両だが、コクピットが、進行方向に対しやや斜めに座る形になっている。スペースをできるだけ広く確保するため、サイドにあるエンジンをよける形になっているとのことだ。
「通常の車両は真っすぐに座るので、一見、違和感があるのかもしれません、でも、ドライバーはそれで慣れてしまい、問題ないようです」(平城さん)。
サイドエンジンレイアウトを採用した理由は、前輪と後輪の車軸の距離を短くすることで、旋回性能を向上させるためとのこと。
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