前述のアルバックと同様に急速充電器を展示していたのが高岳製作所。15〜30分程度の短時間の充電で電池容量の約80%、走行距離にして約60〜120kmの走行を可能にする。EVは充電時間の長さが課題となっているが、この急速充電器を用いれば缶コーヒーを飲んで一服するぐらいの時間で充電が可能で、従来の「ガソリンスタンドで給油」のような運用もなんとか可能になる。
ただし、このような急速充電器は出力電力も50kWと高出力となり、来場者からも「充電中の感電の危険性は大丈夫なのか?」といった声も聞かれたが、そのあたりの安全面の対策はすでに規格内に盛り込まれているのだという。
「EVと充電器とはCAN通信を使って相互にやりとりしており、EV側から充電開始の指示が送られて初めて通電される。仮にコネクタの端子を触ったとしても、感電することはない。基本的な安全は確保されている」(担当者)。
また同社の充電器は、ユニットを10kWごとに分けて5台のユニットを内蔵しているのも特徴の1つだ。これにより、重いユニットの交換が楽になるほか、仮に1台のユニットが壊れても残りのユニットで充電が行えるという可用性の高さも兼備した。
「充電器は最終的に広い地域に置かれることになる。全国の隅々にまでサービス網を張り巡らせることは難しいので、結局は地元の人に保守整備をしてもらうのだが、中のユニット交換をする際に、50kWのものだとユニットの重さも相当なものになる。当社はもともと電力インフラ用の設備機器を手掛けていたことから、保守性と可用性の高いものを作るのは得意。奥行きも地上用変圧器と同じ450mmとして、設置性も高めた」(担当者)。
充電器のバリエーション展開で注目を集めていたのがハセテックのブース。各社がアピールする急速充電器のほかに、「中速充電器」(“中速”は同社独自呼称)や小型の「充電スタンド」を展示していた。
「中速充電器は12.6kWという出力電力で、60km走行分の充電を約45分で行える。シーンとしては、商業施設やスーパーなど少し駐車時間の長い場所での充電を想定したもの。出力電力50kWの急速充電器は入力電流も150A必要など設置できる場所が限られてくる。当社の中速充電器は奥行きも460mm(急速充電器は600mm)と薄型設計ながら、容量を増やすことも可能など自由度が高いのが特徴」(担当者)。
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