電流増幅やスイッチングとして主に利用される「トランジスタ」。今回はそのトランジスタに書かれている“記号の意味”について解説する
これまでの連載で「抵抗」「コンデンサ」「コイル」の電子部品の御三家と「LED」について解説してきました。
そこで、今回は「トランジスタ」に注目し、その用途や規格などについて解説しようと思います。
本連載の題材であるマザーボード(以下、M/B)を眺めてみると、画像1のような黒くて四角い部品を見付けることができます。
これが今回の主役「トランジスタ」です。
ちなみに、画像1は「FET(Field Effect Transistor)」と呼ばれる種類のトランジスタです。
では、このトランジスタ、一体どのような用途に使われているのでしょうか?
トランジスタは、アナログ回路において「電流増幅」として、デジタル回路において「スイッチング」として主に利用されています。ここでは詳しい解説を割愛しますが、トランジスタの基本的な動作原理について知りたい方は、「完全マスター! 電子回路ドリル(16)−【問題14】トランジスタでLED点灯(2)」やNECエレクトロニクスのサイトを参考になさってください。
関連情報: | |
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⇒ | FAQ−半導体デバイスの動作原理(出典:NECエレクトロニクス) |
秋月電子通商のサイトを見てみると、トランジスタには実に多くの種類があることが分かります。そして、その中に「2SAXXXX」「2SBXXXX」「2SCXXXX」「2SDXXXX」といった記号の付いたトランジスタを見付けることができると思います。
関連情報: | |
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⇒ | トランジスタ(出典:秋月電子通商) |
この記号は一体何でしょうか? 以降で、この記号の意味(つまり命名法)について解説します(注)。
ここでは説明をしやすくするため、「2SC1815GR」という記号のトランジスタを例に挙げます。
はじめに、この数字と記号を以下のように3つに分割します。
それでは、これら3つの項の意味について順番に説明していきます。
第1項(ここでは「2SC」)は、トランジスタの種類、極性、用途などを表わします。そして、先頭の数字(ここでは「2」)には以下のような意味があります。
表1は第1項とトランジスタの種類を表わしたものです。この表から、「2SC」は“NPN型の高周波用トランジスタ”という種類であることが分かります。
第2項(ここでは「1815」)は、第1項の種類に対してJEITAの登録順で数字が付与されます。
第3項(ここでは「GR」)は、第2項の数字に対する変更を表し、A、B、C……の順に割り振られます。「GR」の場合はhFEの値が200〜400のものを表します(下記、関連情報参照)。
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⇒ | 2SC1815の規格情報(出典:東芝セミコンダクター) |
ちなみに、規格情報がどこを探してもないような古いトランジスタ(1970〜80年代製造)の場合は、こちらのサイトを利用するとよいでしょう(非常に便利です)。
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⇒ | トランジスタ規格表(出典:マイナーオーディオの部屋) |
さて、次回は「トランジスタの種類」について、もう少し詳しく解説しようと思います。(次回に続く)
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