組み込み開発におけるEclipseの有効性生産性向上への道 Eclipseで行うC/C++開発(1)(2/2 ページ)

» 2007年08月31日 00時00分 公開
[小泉健(NEC) ,@IT MONOist]
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Eclipse開発環境のセットアップ

 それでは、実際にEclipse開発環境のセットアップを行っていきましょう。

 なお、本連載ではJREのインストール方法の説明は省略します。ほかの連載記事やサイトなどを参照して、ホスト環境、リモート環境にセットアップをしてください。

 以下に、本連載で使用するホスト、リモート環境を示します(表1、2)。


カテゴリ 製品名 バージョン
OS Windows XP Professional
Java Java Runtime Environment 5.0(Update 10)
ビルド、デバッグ環境 Cygwin 1.5.21(0.156/4/2)
i386 Linux
クロスコンパイラ
3.2.3
Eclipse Platform 3.2.1
Language Pack(NLpack1) 3.2.1
CDT Platform 3.1.1
Language Pack 3.1.1
RSE RSE Core 1.01
RSE CDT Remote Launcher 1.01
RSE DStore Server 1.01
RSE EFS 1.01
RSE FTP 1.01
RSE Local 1.01
RSE SSH 1.01
RSE 日本語パッチ 1.01
Eclox Eclox 0.63
表1 ホスト環境

カテゴリ 製品名 バージョン
OS Red Hat Linux 9
RSE DataStore
サーバ実行環境
Java Runtime Environment 5.0
Perl 5.8.0
表2 リモート環境

Cygwinのインストール

 それでは、「Cygwin」から順番にインストールしていきます。

 Webサイト(http://www.cygwin.com/)からCygwinのインストーラ(setup.exe)をダウンロードして実行してください。

 インストーラに従って、Cygwinのインストールを行います。「Select Packages」の画面では、以下のパッケージを必ず選択してください(表3)。

カテゴリ パッケージ バージョン
Base cygwin 1.5.24-2
Devel gcc 3.4.4-3
make 3.81-1
gdb 20041228-3
binutils 20060817-1
gettext-devel 0.15-1
doxygen 1.5.1
表3 Cygwinのインストール

【トピックス】

gdbのバージョン20060706-2では、リモートデバッグに失敗するケースが報告されています(原稿執筆時点)。そのため、本連載では、gdbのバージョン20041228-3を推奨します。



 Cygwinのインストールが完了したらWindowsの環境変数PATHに、

%Cygwinのインストールディレクトリ%\bin; 

を設定してください。

クロスコンパイラのインストール

 続いて、「クロスコンパイラ」をインストールします。

 Webサイト(http://www.nec.co.jp/cced/SDDSE/sampledl.html)からクロスコンパイラ(i386 Linux向けクロスコンパイラ)をダウンロードしてインストールしてください。インストールについては、添付のドキュメントを参照してください。

Eclipseのインストール

 次に、「Eclipse」をインストールします。

 Webサイト(http://download.eclipse.org/eclipse/downloads/drops/R-3.2.1-200609210945/index.php)から、Eclipseプラットフォーム(eclipse-platform-3.2.1-win32.zip)をダウンロードします。

 ダウンロードが完了したら「eclipse-platform-3.2.1-win32.zip」を解凍、「eclipse」フォルダが作成されるので、これをインストール先に移動します。

※注:本連載では、インストール先をc:\eclipseとしています。


 そして、日本語化のためにLanguageパックを導入します。

 同じく、Webサイト(http://download.eclipse.org/eclipse/downloads/drops/L-3.2.1_Language_Packs-200609210945/index.php)からEclipseプラットフォームのLanguageパック(NLpack1-eclipse-platform-3.2.1-win32.zip)をダウンロードします。

 ダウンロードが完了したら「NLpack1-eclipse-platform-3.2.1-win32.zip」を解凍、作成された「features」フォルダ、「plugins」フォルダをc:\eclipse\配下に上書きコピーしてください。

CDTのインストール

 さらに、Eclipse上でC/C++開発を支援するプラグイン「CDT」をインストールします。

 以下の2つのファイルをWebサイトからダウンロードします。

 ダウンロードしたファイルを解凍し、作成された「eclipse」フォルダ配下の「plugins」、「features」フォルダ、HTMLファイルを「c:\eclipse」に上書きコピーしてください。

RSEのインストール

 次に、「RSE」プラグインをWebサイト(http://download.eclipse.org/dsdp/tm/downloads/drops/R-1.0.1-200612151830/index.php)からダウンロードします(以下、7ファイル)。

  • RSE-remotecdt-1.0.1.zip
  • RSE-efs-1.0.1.zip
  • RSE-runtime-core-1.0.1.zip
  • RSE-runtime-dstore-1.0.1.zip
  • RSE-runtime-ftp-1.0.1.zip
  • RSE-runtime-local-1.0.1.zip
  • RSE-runtime-ssh-1.0.1.zip

 ダウンロードが完了したら、それぞれファイルを解凍し、作成された「eclipse」フォルダ配下の「plugins」フォルダ、「features」フォルダ、HTMLファイルを「c:\eclipse」に上書きコピーしてください。

 さらに、Webサイト(http://www.nec.co.jp/cced/SDDSE/sampledl.html)から「RSE V1.01 日本語化パッチ」をダウンロードします。インストールについては添付のドキュメントを参照してください。

Ecloxのインストール

 続いて、ドキュメント作成ツールdoxygenをEclipse上で使用可能にするプラグイン「Eclox」をインストールします。

 Webサイト(http://home.gna.org/eclox/)からダウンロード&解凍し、作成された「plugins」、「features」フォルダを「c:\eclipse」に上書きコピーしてください。

RSE DStore Serverのインストール

 最後に、Webサイト(http://download.eclipse.org/dsdp/tm/downloads/drops/R-1.0.1-200612151830/index.php)から「DStore Server Runtime(rseserver-1.0.1-linux.tar)」をダウンロードします。

 下記のとおり、リモートマシン上にRSE DStore Serverのインストールを行います。本連載では、/opt/rseserver/1.0.1/にインストールしています。

1.LinuxマシンにRSE DStore Serverのインストールディレクトリ「/opt/rseserver/1.0.1/」を作成します。

2.FTPソフトなどを利用し、「rseserver-1.0.1-linux.tar」をLinuxマシンのインストールディレクトリ「/opt/rseserver/1.0.1/」に転送します。

3.TeraTermなどのターミナルソフトウェアを起動し、以下のようにtarコマンドで、「rseserver-1.0.1-linux.tar」を展開します。daemon.plがRSEのdserverデーモン起動スクリプトです。

# cd /opt/rseserver/1.0.1/
# tar xvf rseserver-1.0.1-linux.tar 

4.perlコマンドを利用して、dserverデーモンを起動します。dserverデーモンの起動は、root(スーパーユーザー)で実施してください。以下のコマンドは、ポート番号が4035で、内部で10000から10010のポートに振り分けて、同時に10名が接続できるという起動例です。

# perl ./daemon.pl 4035 10000-10010 

 本コマンドで、RSE DStore Serverを起動している間は、dstoreプロトコルを用いた、RSEでのリモートアクセスが可能になります。

 長くなりましたが、以上で環境設定は終了です。



 今回は、EclipseのC/C++開発プラグインの概要を紹介し、Eclipse C/C++開発環境の構築方法について解説しました。

 前述のとおり、Eclipseを用いることで“ビジュアルで高機能な開発環境”を手軽に利用できるようになります。本連載を参考に、Eclipseを組み込みソフトウェア開発に利用してみてはいかがでしょうか。

 さて、次回からは今回構築した環境を用いてC/C++アプリケーション開発の方法について解説していきます。(次回に続く)

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