ニュース
耐光性に優れた屈折率1.9の高屈折率ナノインプリント樹脂を開発:材料技術
NTTアドバンステクノロジは、耐光性に優れた屈折率1.9の高屈折率ナノインプリント樹脂を開発した。
NTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)は2024年8月30日、耐光性に優れた屈折率1.9の高屈折率ナノインプリント樹脂を開発したと発表した。2025年1月に提供を開始する予定だ。
今回の製品は、従来品と同様の高い透明性と良好なナノインプリント性があり、スピンコートで、均一な薄膜を形成することができる。耐光性が従来品を上回ることから、可視光領域での信頼性が求められるAR(拡張現実)/VR(仮想現実)ヘッドセット向け導波路などの光学デバイス用途に対して適用拡大が期待されている。
具体的には、高屈折率ガラス基板に屈折率整合し、樹脂にナノメートルサイズパターンの型を押し当てることで微細加工するナノインプリントにより線幅45〜500nmのナノパターンを形成することが可能な他、波長400〜800nmの範囲で高い光透過性がある。用途としてはナノインプリント用樹脂やコーティング剤を想定している。
開発の経緯
近年、AR/VRヘッドセット向け導波路などの光学デバイス形成にUVナノインプリントプロセスが活用されている。なかでも視野角の拡大などを目的として、高屈折率な微細構造を形成する上で高屈折率ナノインプリント樹脂の需要が高まっている。しかし、屈折率1.9以上の樹脂は屈折率1.8以下の樹脂に比較すると、耐光性が大幅に劣るという課題があった。そこで、同社は今回の製品を開発した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 5Gと6Gの電波や可視光を透過する透明な遮熱窓用の基材を開発
東北大学は、可視光や次世代通信に必要な電波を透過する、透明な遮熱窓用の基材を開発した。nmサイズの周期構造を持つアルミ製遮熱メタマテリアルにより、波長が異なる電磁波の反射や透過を制御する。 - 日本電気硝子が厚さ200μm以下の超薄板ガラスを開発、高耐熱性のITO形成にも対応
日本電気硝子は「nano tech 2024 第23回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」に出展し、開発した超薄板ガラス「G-Leaf」や超薄板ガラスと樹脂積層体を組み合わせた「Lamion[フレキシブル]」、紫外線遮蔽超薄板ガラス、化学強化専用超薄板ガラス「Dinorex UTG」を披露した。 - ハンコのように回路を形成、ナノインプリントリソグラフィ技術の半導体製造装置
キヤノンはナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術を活用した半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」を発売した。従来の投影露光装置に比べて製造コストや消費電力の削減に貢献する。 - 富士フイルムがコスト低減と省電力化に貢献するナノインプリント対応の半導体材料
富士フイルムは、電子材料事業の中核会社である富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズを通じ、半導体製造技術「ナノインプリントリソグラフィ」に適合する半導体材料「ナノインプリントレジスト」を発売する。 - ナノインプリント技術を用いた、次世代半導体製造装置を開発
キヤノンは、解像力10nm台の高度な微細加工が可能なナノインプリント技術を用いた、次世代半導体製造装置を開発した。光露光装置に比べ、高解像度で均一性のあるパターンを描くことができる。