この記事は、2023年12月22日発行の「製造マネジメント メールマガジン」に掲載されたMONOistの編集担当者による編集後記の転載です。
2023年10月、香川県三豊市が市民向け案内支援サービスへのAI(人工知能)本格導入を取りやめるとリリースを出しました。ごみ出し案内にOpenAIの「ChatGPT」を活用するというプロジェクトですが、実証実験中に正答率が「本格導入決定ラインであった99%」(同市のリリースより)に届かなかったため、断念するということです。先日、この件について三豊市にインタビューを行った記事がITmedia NEWSに掲載されました。興味深い話なので、詳細は記事を読んでいただければと思います。
さて、読後、筆者の心にはどうにももやもやしたものが残りました。理由は幾つかあるのですが、まず出てくるのは、「なぜ99%を目標に据えてしまったのか」という疑問です。リリースによるとChatGPTによる正答率は最終的に94.1%を記録したようです。この精度では実用化に十分ではなかったのでしょうか。少し前、製造業ではAI(人工知能)導入のポイントとして、「AIに極端な期待を寄せないこと」が指摘されていましたが、部外者の立場から見ると、まさにこうした過度の期待感がかせになってしまったのではないか、と疑ってしまいます。
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