アマゾン ウェブ サービス(AWS)のオンラインユーザーイベント「AWS Summit Online」に、東大発のAI(人工知能)ベンチャー・アイデミー 社長の石川聡彦氏が登壇。「製造業におけるIoT×AI/ML基盤の構築とその運用事例」をテーマに講演を行った。
アマゾン ウェブ サービス(AWS)が、2020年9月8〜30日に開催したオンラインのユーザーイベント「AWS Summit Online」に、東大発のAI(人工知能)ベンチャーであるアイデミー 社長の石川聡彦氏が登壇。「製造業におけるIoT×AI/ML基盤の構築とその運用事例」をテーマに講演を行った。本稿は、この石川氏の講演内容に、別途行った取材の情報を追加して構成した。
2014年6月設立のアイデミーは、製造、金融、SIerなど企業向けを中心に50社以上に同社のAI技術が採用されている。これら採用企業の内、実に6割が製造業となっていることから、製造業が重視するIoT(モノのインターネット)とAIの活用に関するさまざまな知見やノウハウを持つ。
石川氏はまず、AIの主要技術となっているML(機械学習)で重視すべき「MLOps」について説明した。一般的にMLモデルは、「人材育成」「課題の特定」「モデル作成」「モデル運用」という4つのフェーズから構成される。アイデミーは、各企業がAIの内製化を行えるようなサポートするべく、人材育成に特化したソリューションの「Aidemy Business」や、AIモデルの運用に特化したソリューション「Modeloy」などを提供している。
石川氏の言うMLOpsは、先述したMLモデルの4つのフェーズの内「モデル運用」が対象となっている。「『モデル作成が完了すればあとは運用すればいいだけ。もうAIプロジェクトは終わりに近い』と考える向きも多い。しかし実際には、モデルができた後のモデル運用から長い戦いが始まる」(同氏)という。
MLOpsは「本番環境でのMLアプリケーションの導入と管理を迅速化する、拡張性と管理性についての技術とベストプラクティスの集積体」と定義されており※)、まさにモデル運用のフェーズがこれに当たる。MLプロジェクトの全体像を示すプロセス図においても、重要とみられているMLモデルは極めて小さく、MLOpsは全体の半分以上を占めている。
※)出典:MLOps - 機械学習モデルの活用、その先にあるチャレンジ Part 1
MLモデルを作成した後に必要となるMLOpsのタスクとしては「管理画面の用意」「異常時の通知」「データ保存基盤の構築」「IoTデバイスの管理」「継続的なアノテーションの実施」「MLモデルの再訓練」などがある。石川氏は「中でもMLモデルの再訓練は重要だ。一度作ったMLモデルは、未学習データパターンの混入やデータの質的変化などによって、その精度は基本的に下がる。だからこそ、取りためたデータを使ってMLモデルを再訓練して、あらためて精度を高める必要がある」と説明する。
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