計画業務から進めるカーボンニュートラル、精度の高い予測で意思決定を支援:脱炭素
Anaplanの日本法人Anaplan Japanは2022年12月9日に東京都内およびオンラインでメディアラウンドテーブルで開催し、同社のクラウド型計画業務ソリューション「Anaplan」によるGX(グリーントランスフォーメーション)の最新事例などを紹介した。
Anaplanの日本法人Anaplan Japanは2022年12月9日に東京都内およびオンラインでメディアラウンドテーブルで開催し、同社のクラウド型計画業務ソリューション「Anaplan」によるGX(グリーントランスフォーメーション)の最新事例などを紹介した。
Excelの単純作業を付加価値の高い業務へ
Anaplanは2006年に英国で創業し、2010年には米国に本社を移転。日本法人は2016年に立ち上げた。現在、グローバルで2000社、国内では自動車、電機、素材、金融など幅広い業種から約200社が利用している。直近でも、ゴディバジャパンやパナソニックホームズが導入している。
Anaplanは企業や組織が行う計画業務をサポートするSaaS(Software as a Service)型のクラウドソリューションとなる。企業活動には、生産、在庫、経費、採用など、さまざまな計画業務であふれている。Anaplan Japan 社長執行役員の中田淳氏は「計画は基本的に未来の話だ。現状のITシステムにそのような情報は入っていない。どこにあるかいうと、人の頭の中にある。これまで、そういった将来の情報を引き出してまとめる作業に、身近にあって一番便利なツールがExcelだった。このExcel作業をAnaplanで自動化、効率化することで、分析に軸足を置いた付加価値の高い業務に変えていくことができる」と語る。
Excel作業では数値の成否確認に追われ、予実分析に時間を割けなくなり、結果として精度の低い予測になるケースも多かった。Anaplanで収集や成否確認といった付加価値の低い作業を削減することで、予実分析やシミュレーションに時間を当てられるようになり、精度の高い予測で経営の意思決定を支援する。
計画業務のソリューションがGXとどのように関係するのか。AnaplanではまずGXの成熟度を3つの段階に分析している。
「コンプライアンスドリブン」はまだ戦略的な計画を持たず、政府の規制やカーボンプライシングの導入、サプライヤーからの要請など、課題が顕在化した際に対応する段階となる。「オポチュニティドリブン」ではそれらの規制や要請に、企業価値やブランド力の向上のために取り組む段階。「ストラテジードリブン」では、GXやESGへの対応を企業戦略に落とし込み、さまざまな規制、要請に対して先進的な基準を設けて取り組んでいく。
「アピールや題目として進めるのではなく、しっかりと戦略に埋め込むストラテジードリブンを目指す支援をAnaplanで行いたい。コロナ禍で観光業が低迷し、逆にハワイの海がきれいになった例があるが、経済が活性化すると環境負荷が高くなる。このトレードオフを人類は克服できていない。ただ、均衡点を探すことは計画業務でサポートできる」(中田氏)
GXを考慮した予算編成、投資計画
ユーザーからはインターナルカーボンプライシング(ICP)や、年次予算プロセスへのCO2排出量増減効果の埋め込みといった相談も寄せられているという。
「例えば、生産増強を計画した際に、従来の条件ならA国が有利だが、その際の排出量や炭素税を考慮するとB国が有利になる。A国とB国を比較して意思決定するプロセスは計画業務になる。設備投資計画とひもづけて排出量を予測し、どちらがいいかをシミュレーションする。また、年次申請項目にその投資によるCO2排出量の増減などを記載し、ROIに加えて環境負荷の大小で判断するケースも起こり得る」(中田氏)
国内のAnaplan事例としては旭化成の取り組みを紹介した。旭化成は機能樹脂事業において、EPOCH(Engineering Plastics Optimized Carbon-footprint-calculation Hub)としてカーボンフットプリント(CFP)の可視化システムを構築した。この中でanapkanを活用している。工場別にスコープ1、2の排出量を算出している他、1万点に及ぶ最終製品の年間ベースのカーボンフットプリントを提示しているという。「もともとは経営管理のために始めた。延長線上にCFPデータの可視化があり、経営の情報とCFPのデータと組み合わせて経営の意思決定に使える仕組みになっている」(中田氏)。
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