座屈
構造物に荷重を加え続けて圧縮し、ある荷重の大きさに達すると変形具合が急激になって大きなたわみが生じる状態を「座屈(ざくつ)」という。
座屈すると、構造物は横にはみ出すように変形する(湾曲する)。座屈を経ると構造物は急激に破断へ至る。座屈は、疲労に並ぶ構造物の破壊事故の代表的原因である。構造物が突如不安定になり急激に破断へと至るため、座屈の兆候を見落として大事故につながりやすい。その事故事例としてよく取り上げられるのが落橋である。
座屈は荷重が加わり続けることで、圧縮応力とひずみのバランスが大きく崩れることで生じる。座屈は長い形状の構造物(柱など)ほど生じやすくなる。例えば、柱に対して上から縦方向に荷重を与えた場合、長い柱ほど座屈しやすく、短い柱ほど座屈しづらい。また、断面積が大きいほど座屈しづらくなる。つまり、座屈荷重は断面二次モーメントに比例して大きくなる。
構造物が座屈を起こす際の荷重を「座屈荷重」、その応力を「座屈応力」と呼ぶ。座屈への寄与が大きい部分の長さを「座屈長さ」という。
棒や柱状の構造物の座屈は「オイラー座屈(弾性座屈)」と呼び、オイラーの式で解く。曲げに対して起こる座屈を「曲げ座屈」、薄い構造物に起こる座屈を「局部座屈」という。ねじれるように座屈することは「ねじり座屈」と呼ぶ。
座屈が想定される構造物には、剛性の高い部材(※1)を採用する、断面二次モーメントを大きくする、座屈が生じやすい箇所に補強材を追加するなどの対処が必要となる。
※1:初出時の表記から一部訂正を行いました。[2020年12月16日]
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