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エンジンやボディー、シャシーはどう進化する? マツダSKYACTIV第2世代乗って解説(1/4 ページ)

マツダが開発中の火花点火制御式圧縮着火エンジン「SKYACTIV-X」に試乗する機会を得た。試乗に先立って詳細な技術説明とともに次世代のボディー&シャシー技術についても明らかにされ、マツダが目指す方向性が見えてきた。

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開発中の第2世代SKYACTIVテクノロジーに乗る機会を得た(クリックして拡大)

 エンジンの置かれている状況は、このところ急速に変わりつつある。その要因は、欧州や中国、インドなどでエンジン車を販売禁止にするという施策だ。大気汚染の原因としてクルマの排気ガスが挙げられる以上、施策もやむなしと考える自動車メーカーもあるが、エンジンのもつ可能性を追求する企業もある。その代表的存在がマツダだ。

 まだ実現は相当先と思われていた夢の燃焼技術「HCCI(予混合圧縮着火)」。ガソリンエンジンで火花点火を利用することによって、スーパーリーンバーン(希薄燃焼)を可能にする圧縮着火を具現化したのが、火花点火制御式圧縮着火エンジン(SPCCI、SPark Controlled Compression Ignition)の「SKYACTIV-X(以下スカイアクティブ-X)」だ。すでにその概要は2017年8月の発表で明らかになっているが、今回詳細な技術情報も明らかになった。


SPCCIはリーンバーンの成立範囲と制御性を改善する手段だ(クリックして拡大) 出典:マツダ

 まずは、HCCIはリーンバーンのための技術であるが、「SPCCIはリーンバーンではない」ということを明確にしておきたい。

 これまで、ストイキメトリー(理論空燃比、以下ストイキ)のおよそ2倍の希薄状態である空燃比1:30で運転を行えるのは、限られた一定の条件下に限られていた。この限られた条件以外の領域では、スカイアクティブ-XはストイキによるSI(火花点火)とSPCCIを使い分けて走行する。また、幅広い速度域と回転数域でSPCCIを実現するため、ストイキと希薄状態も使い分ける。つまりストイキによる火花点火(ストイキSI)と火花点火制御式圧縮着火(ストイキSPCCI)、そして希薄状態での火花点火制御式圧縮着火(リーンSPCCI)という3つの燃焼モードを使い分けるのだ。

 この時、スパークプラグは、点火時期のキメ細かい制御が要求される。ストイキSIにしても低回転と高回転、軽負荷と高負荷では大きく異なる上に、ストイキSPCCIとリーンSPCCIでもまったく点火のタイミングが異なる。しかもプラグ点火を制御因子としているSPCCIは、実際には混合気の生成を制御してはじめて可能になるため、燃料噴射の複雑な制御も燃焼の制御因子となっている。


SIとSPCCI、2種類の燃焼に会わせて混合気の濃度や分布も制御因子となる(クリックして拡大) 出典:マツダ

 これらを実現するため、可変バルブタイミング機構は吸排気とも電動式とされ、可動域や応答性の高さから柔軟で幅広い制御が行われており、燃焼室温度を制御するために内部EGRも積極的に活用されているようだ。またSPCCIのためには強力なスワール流(垂直軸の渦)が不可欠なため、吸気ポート内にはスワールコントロールバルブも設けている。

 当たり前と言えば当たり前だが、これまでの燃焼制御、つまりはガソリンエンジンの「スカイアクティブ-G」と比べて、はるかに複雑で緻密な制御によって成り立っていることが分かった。

スカイアクティブ-Xは、従来のガソリンエンジンと比べて点火時期や燃料噴射を複雑に制御している(クリックして拡大)
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