国産汎用ロボットによるフィジカルAIのデータ収集で7社が競う、試作機を披露ロボット開発ニュース(2/2 ページ)

» 2026年09月17日 06時45分 公開
[朴尚洙MONOist]
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コンペティションに参加した7社のロボットの特徴

THK

 THKは、主力事業であるローラーベアリングやリニアガイド、ボールねじなどの機械要素部品を活用した汎用ロボットを開発している。例えば、カメラを搭載する頭部の動作機構にはボールねじを、ハンドのグリッパーの開閉機構にリニアガイドを用いている。「工作機械や半導体製造装置に用いられる機械要素部品は、何万回、何十万回動作しても高い動作精度を維持しなければならず、高い剛性も求められる。それらの特徴を生かしたロボットの開発を約10年間続けており、試作機にはその成果を盛り込んだ」(THKの説明員)。

頭部の動作機構にボールねじを使用 頭部の動作機構にボールねじを使用[クリックで拡大]

ugo

 ugoが披露したのは、新開発の国産セミヒューマノイド「ugo Nova」である。双腕での可搬重量は最大10kgで、上体の旋回/屈伸が可能な腰部の多関節機構を搭載し、メカナム4軸による全方向移動が可能だ。NVIDIAの最新の組み込みAIボードである「Jetson Thor」を搭載し高度なフィジカルAIの実装が可能だという。なお、ugoは、GENIACの「ロボット基盤モデルの研究開発事業(多用途ロボット等)」にも参加しており、VLA(視覚言語行動)モデルに触覚を加えたVTLAモデルの開発を目指している。このVTLAモデルの開発にもugo NOVAを活用する予定だ。「人の熟練作業をデータ化してAIが学習し、ロボットがロボットを作る世界の実現を目指す」(ugoの説明員)としている。

不二越

 不二越は、産業用ロボットの知見を基に開発した双腕ロボットを披露した。片腕当たりの可搬重量はハンドを含めて4kgである。「当社はルールベースで動作する産業用ロボットを事業として展開してきたが、この機体はVLAモデルなどAIモデルへの対応を視野に入れた研究開発の取り組みとして試作した」(不二越の説明員)という。

Keigan

 Keiganは、アクチュエーター開発を起点に2016年に創業したスタートアップで、2021年からはそのアクチュエーター技術を活用したAMR(自律移動ロボット)に事業を拡大している。今回披露した双腕ロボットは、全24軸に自社設計のアクチュエーターを搭載しており、モータードライバ基板や制御ソフトウェアは内製、減速機を国内メーカーとするなど国産サプライチェーンを構築している。「最も修理しやすいヒューマノイドを目指して、機体の設計情報やSDK(ソフトウェア開発キット)などをオープンソースで公開する予定だ。使う人が自分で修理、保守、改造できるようにしたい」(Keiganの説明員)。

Enactic

 Enacticは、2025年7月に発表した完全オープンソースのヒューマノイドロボットアーム開発プラットフォーム「OpenArm」を披露した。オープンソースのロボットアームといえば「LeRobot」に準拠した「SO-101」などが広く知られているがシングルアームだ。OpenArmは双腕のロボットアームであり、片腕当たり5.5kgの可搬重量を実現している。今回のコンペティションでは、ハンドのグリッパーを3種類に増やしており、表面積が大きく大型で柔らかいものをつかみやくしたり、小さいものをしっかりとつかみやすくしたりなどの工夫を追加している。

3種類のグリッパーを用意した 3種類のグリッパーを用意した[クリックで拡大]

Emplifi

 Emplifiは、マツダ、アイリア、アスラテック、TSAKOとの5社コンソーシアムでコンペティションに参加しており、“顔のある”オープンソースロボット「OpenShell」を披露した。ナマケモノをモチーフにした頭部と口角/口パクの2自由度顔面機構を持ち、注意方向や動作開始を周囲に知らせることができる。安全機構とは別に、ロボットの行動予測しやすさを高められるようになるという。頭部のデザインは、メディアアート作家の藤堂孝行氏が担当した。人との協働を強く意識したロボットになっている。

狼をモチーフにした頭部のロボットは、カメラで認識した人の表情を模倣する 狼をモチーフにした頭部のロボットは、カメラで認識した人の表情を模倣する[クリックで拡大]

HatsuMuv

 HatsuMuvは、「2次元キャラクターを実世界へ」を合言葉にヒューマノイドロボットを開発しており、今回のコンペティションでは頭部にさまざまな機能を組み込める双腕アームを備えた上半身ロボットを試作した。頭部スペースを広めに取っており、USBスロットなどもあるので、さまざまなデバイスを試すことができる。関節モジュールには、高耐久/高冷却/高応答の台湾製の最新QDD(準ダイレクトドライブ)モーターを採用している。

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