店舗の刷新と並行して、新規顧客の獲得に向けたマーケティングの変革も推進している。従来はマツダファンやクルマ好きの層に向けた発信が中心であったが、クルマの購入を検討する全ての顧客に対し、顧客視点で価値を伝えるアプローチへと転換した。
マツダ 国内ブランドコミュニケーション部 主幹の竹下雅人氏は「マツダのこだわりを一方的に押し付けるのではなく、お客さまがクルマに求めることに対して、分かりやすさでお伝えするコミュニケーションへとシフトした」と説明する。こうした施策の結果、Webサイトの来訪者数は前年比112%を記録。また、ブランド発信拠点であるマツダトランス青山には10万人が来場するなど、新たな顧客層との接点拡大につながっているという。
マーケティング変革で拡大した顧客接点を実際の販売につなげるため、店舗における接客プロセスを改善する「マツダブランドアカデミー(MBA)」を展開している。MBAは現場での行動規範を定着させる仕組みであり、教育や協働体制を通じてスタッフを支援している。単なる商品知識の習得にとどまらず、顧客の課題やベネフィットを引き出す対話のスキルアップに焦点を当てている点が特徴だ。
これらの活動を通じ、新規来店で購入に至る顧客の割合は、2025年度第1四半期の7.5%から2026年度第1四半期には31.0%に増加した。また、顧客からの評価も、2025年度以前の「親しみやすい丁寧な対応」から「自分に合う提案がうれしかった」という実践的な内容へと変化しているという。
一連の構造改革の成果は、新型CX-5の販売状況にも反映された。同型の累計販売台数は約1万7000台を達成し、購入者全体の約半数を新規他銘柄からの顧客が占めている。三浦氏は「直近週の実績では50%以上が新規顧客となった。20代以下では新規比率が63%に上るなど、特に若年層の流入が顕著であるのが特徴だ」と説明する。
受注の状況を見ると、購入の決め手において旧型モデルでは外観デザインの評価のみが突出していたが、新型モデルでは外観デザインの24%に加え、内装デザインが17%、居住空間の広さが13%、大画面ディスプレイが11%と、多様なポイントが支持を集める結果となった。
「価格に頼る販売から価値訴求へのシフトが進み、製品の持つ総合的な魅力によって選ばれる構造が構築されている。マツダが伝えたいメッセージと現場がうまくかみ合い、価値で選ばれるようになった。マーケティングなどの構造改革について、新型CX-5の導入を通じて確かな手応えを感じている」(三浦氏)
新型CX-5は都道府県別の販売実績においても、前年同期の実績と比較して、重点強化地域に指定した10都市や地元の広島で好調なスタートを切り、全体の販売台数を底上げしている。販売網の再編を先行して進めた都市圏や首都圏において、成果を挙げている状況だ。
三浦氏は今後の意気込みとして、「2030年に20万台を売る会社ではなく、『20万人に選ばれ続ける会社』を目指す」と語り、さらなる成長に向けて取り組む姿勢を示す。
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