LMガイドのカタログを見ると、「高剛性」とうたっているので、剛性の高い機械要素という印象を受けます。しかし、その原理から、思っているほど剛性が高くないことを説明します。
面と面が接触している場合と、ボールが接触している場合を比較してみましょう。ボールがあるということは、部品間の接触は球と曲面の点接触です。点接触では接触面積が極端に小さいため、局所的な面圧が大きくなり、簡単に陥没すること、つまり接触剛性(ばね定数)があまり大きくないことが予測されます。
どの程度か試算します。図5に示すように、円柱と平面の接触と、2球の接触を比較してみましょう。
円柱と平面の接触は、剛体パンチによる接触とし、円柱は剛体とします。陥没量eと加圧力Pには、式1の関係があります(参考文献[1])。
ばね定数を式2で定義します。
2球の接触にはヘルツの接触公式を使います。2球の接近量δと加圧力Pには、式3の関係があります(参考文献[1])。
今回は球と平面の接触なので、RBは無限大とします。ばね定数を式4で定義しましょう。
円柱と平面の接触を普通の部品の接触(面接触)と考えて式1、式2で計算し、2球の接触をLMガイド内の接触(球接触)と考えて式3、式4で計算します。鉄鋼材料の材料定数を使い、半径を3[mm]としてばね定数を計算した結果を図6に示します。
LMガイド内のボール数は30個くらいでしょうか。30個で3000[N]の軸力を発生させるとすると(フレーキングが起こりそうですね)、ボール1個当たりの荷重Pは100[N]です。
面接触の場合のばね定数は1×109[N/m]、球接触の場合のばね定数は2×107[N/m]となり、両者のばね定数は約2桁違います。ボールを使った接触にすると、ばね定数が約100分の1になるということでしょうか。
ボールねじやLMガイドのカタログを見ていると、ゴツゴツっとした剛性の高そうなものに見えます。しかし、実は点接触なので、剛性は見た目よりかなり低くなります。
図6において球接触のグラフが傾いているのは、荷重が小さいときは図5における2a寸法が小さく、つまり接触面積が小さいため、簡単に陥没するからだとお考えください。球接触のばね定数は非線形です。
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