MONOist 今回のガラス複合型誘電材料の具体的な機能や特徴について教えてください。
嶋村氏 300℃までの温度域で誘電率の変化率が15%以内と非常に安定しているのが特徴だ。非晶質(ガラス)を導入したことで、「酸素欠損の抑制」「異常粒成長の抑制」「粒界抵抗の向上」が実現でき、高温でも電気伝導が小さく安定した誘電率が得られた。
MONOist 既存の高温用コンデンサー材料と比較して、ガラス複合型誘電材料の優位性はどこにありますか。
嶋村氏 チタン酸バリウム以外の誘電体として、例えば、ジルコン酸カルシウムがある。ジルコン酸カルシウムは、温度変化に対する誘電率の変化率の小ささから、温度補償用コンデンサーなどに利用されている。一方で、誘電率が低い(約30)という課題があり、高い誘電率と温度安定性を両立させるのは容易ではない。これに対し、今回のガラス複合型誘電材料は、高い誘電率(約400)と高温安定性(300℃までの誘電率の変化率が±15%以内)をを両立させている点が強みである。
MONOist また、従来の材料と比べて、製造プロセスが簡単になったことはコストダウンに貢献しますか。
嶋村氏 プロセスの省略により製造コストの削減は見込める。しかし、原料の観点では既存のチタン酸バリウムの方が安価だ。そのため、原料費だけでなく、製造工程を含めたトータルコストで優位性を出せるかどうかが重要になる。この点は、今後企業と連携して実用化を検討する際の評価項目の1つと考えている。
MONOist 具体的にどのような産業製品での活用を想定していますか。
嶋村氏 ウェアラブル端末などの身近なものではなく、電気自動車や宇宙/航空産業、プラントなど、過酷な環境で使用されるコンデンサーの材料を想定している。
MONOist 社会実装に向けてクリアすべき課題やネクストステップを教えてください。
嶋村氏 用途に合わせて「さらに誘電率を高めたい」「誘電率の変化率をもっと小さくしたい」といったさまざまなニーズや用途に応じた開発が必要だ。実用化に向けたより具体的なニーズを都産技研だけで把握することは難しく、また、都産技研自体は材料や製品を製造/販売する機関ではない。このため、ノウハウを持つ企業様と連携し、それぞれの用途やニーズに応じた開発を行っていくことが直近の課題だと考えている。なお、社会実装に当たっては、この材料に関する技術を企業へライセンス提供する形を想定している。
MONOist どのような企業と協業していきたいと考えていますか。また、将来的にどのような展望を描いていますか。
嶋村氏 協業先は特定の企業に絞らない。異なる専門性を持つ企業が交わり、タッグを組むことで新しい視点やブレークスルーが生まれると考えている。
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