データスペース時代に日本企業はどう備えるか、NTTグループが進める仕組みづくり加速するデータ共有圏と日本へのインパクト(10)(3/5 ページ)

» 2026年08月20日 07時00分 公開

データスペース活用に向けて通信企業が連携

 データの安全な共有と活用を実現する「データスペース」については、国際相互運用に向けて、世界の主要な通信会社が連携を開始する動きが出てきている。データ共有の国際標準化を推進するIDSAに参加するドイツのドイツテレコム、オランダのKPN、そして日本のNTTが新たに「Telco Community」を結成し、グローバルなデータ流通の基盤構築に向けた取り組みを進めている。

 通信会社は、ユーザーと回線契約を結ぶ際に厳格な実在性や本人性の確認を行い、実際の通信時にも認証と居場所の特定を行う。そのため、技術面では、各企業がデータスペースを利用して国際的に通信する際に、「デバイス×通信回線×VC」による強固なトラスト(信頼)を構築することが可能だ。

 政府保証証明書などの本人証明書(トラストアンカー)や各種VCを、通信回線とひも付いた個人用や法人用のIDウォレットで安全に管理することにより、ドローン、ロボット、スマートフォン、AIなどのさまざまなデバイスが、国境を越えたグローバルデータスペース上で安全にデータをやりとりできる高信頼のセキュアな仮想ネットワークが実現する。

photo 通信会社によるマネージドトラストサービス[クリックで拡大] 出所:NTTドコモビジネス

データスペース活用の課題を一括解決する「データスペース接続ハブ」

 重要性が高まるデータスペースだが、その接続にはこれまでさまざまな課題が存在していた。参加資格の取得や、コネクターの設定、ユースケースアプリケーションの導入、海外の事業者との煩雑な契約手続き、さらには自社システムをインターネットを介してデータスペースとつなぐためのサイバーセキュリティ対策などだ。これらを解決するためには、高度で専門的な知識が求められ、製造業などユーザー企業のオペレーターが対応するには大きな負担があった。

 この課題を解決すべく、NTTドコモビジネスは2026年2月に“かんたん、セキュア”にデータスペースに接続できる「データスペース接続ハブ」のプロトタイプを公開した。これは、データスペース接続に必要な機能をワンストップで統合したソリューションだ。

 このシステムは「操作の簡略化」を実現し、ドラッグ&ドロップのみでデータスペース上にファイルを公開することが可能だ。同時に、Secure WAN(広域通信網)やVPN(仮想プライベートネットワーク)機能を活用した「高度なセキュリティの確保」により、各拠点からデータスペースのネットワークまで安全なアクセス環境を提供する。これまで各企業が個別に行っていたネットワーク設定やシステム構築に必要な工数を大幅に削減できる。

photo NTTドコモビジネスのデータスペース接続ハブ[クリックで拡大] 出所:NTTドコモビジネス

企業間データ連携を加速するNTTグループの「3つのコアサービス」

 さらに、NTTグループは、企業がビジネス上の新たな価値を創出できるよう、単なる接続環境の提供にとどまらず、以下の3つのコアサービスを展開する。

  1. Enablement Service(イネーブルメントサービス):業界や企業グループ向けに、データスペースを素早く実現する基本機能を提供する。データの「カタログ」による探索機能、参加企業の真正性を保証する「認証と認可」、データ主権を確保するための共通インタフェースである「コネクター」、そして誰がどうデータを利用したかを記録する「来歴」機能などを網羅する
  2. Trusted Data Sharing Service(トラステッドデータシェアリングサービス):社内外の機密データを安全に扱い、価値を創出するための「秘匿性」機能を提供する。秘密計算技術などを用い、データを秘匿した状態のまま計算を行い、結果のみを共有することで、機密性の高い情報であっても安心して連携できる環境を実現する。また、複数のデータスペースに容易に接続できるマルチホーミングコネクターの機能も備える
  3. Federated Governance Service(フェデレーテッドガバナンスサービス):異なるデータスペース間を横断的につなげるためのガバナンス機能を、国や業界と連携しながら提供する。これにより、将来的に自動車、医療、エネルギーなど無数のデータスペースが乱立した際にも、それらを相互に信頼して連携させることが可能となる

 さらにNTTグループは、次世代通信基盤「IOWN」と組み合わせた「耐量子セキュアデータスペース」の構想も推進しており、量子コンピュータによる解読リスクにも対応する、高安全性のデータ流通基盤の研究開発を進めている。

photo 量子コンピュータでも解読できない暗号通信に関する実証の仕組み[クリックで拡大] 出所:NTTドコモビジネス

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