ここで、あらためてデータスペースの仕組みと主要な構成要素について振り返っておきたい。
データスペースというと、巨大な中央集権型クラウドにデータを預ける仕組みを想像されがちだが、実態は「電話」や「インターネット」の通信方式に近い。中央にデータを蓄積するストレージは存在せず、電話帳やカタログからアクセスしたい相手の番号(ID)を見つけ、交換機(コネクター)を通じて、1対1(ピアツーピア)で直接通信するのが基本の仕組みだ。
さらに、直接の取引関係(契約)がない企業間でデータをやりとりするユースケースにおいても、信頼できる第三者機関が発行する「デジタル証明書(トラストクレデンシャル)」を用いて身分証や資格認定証を登録/提示することにより、セキュアなコネクター経由で未知の相手とも安全かつ迅速にデータを交換できる先進的なアーキテクチャが実装されている。
データスペースの要となるのが「コネクター」と呼ばれる標準化されたデータ交換用ソフトウェアだ。
これは、企業同士がデータをやりとりする際に必ず通る「専用の関所」のようなものだ。自社のデータにアクセスできる相手を限定し、競合他社やハッカーなどが不正にアクセスするのを防御できる機能が備わっている。これまで、企業はそれぞれのやり方でIDとパスワードを発行してデータへのアクセス権限を管理する必要があったが、このコネクターは「データスペースプロトコル」と呼ばれる、世界共通の標準化された通信方式を用いてアクセス権を自在に設定し制限できる。どのようなアプリケーションソフトも、この標準仕様のコネクターを通すことで特定の相手とだけスムーズかつセキュアにつながることができるのだ。
コネクターには、大きく分けて2つの機能が存在する。
コネクターが安全に機能するためには、「通信相手が本当に名乗っている通りの信用できる企業や人物なのか」を確実に確かめる必要がある。そこで活躍するのが「VC(Verifiable Credential:検証可能なクレデンシャル)」と呼ばれるデジタル証明書だ。
これは、現実世界における「パスポート(旅券)」や「ビザ(査証)」「運転免許証」「会社の登記簿」のデジタル版をイメージすると分かりやすい。この証明書の発行や利用の手順について、まだ日本では明確なルールが定められていないが、次のようなステップで行われることになると想定される。
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