2033年度に想定する実証システムでは、全長17.5m程度の無人飛行艇と全長4m程度のAUVを用い、片道200海里の航続距離、調査水深2000mなどの目標達成を目指す。この実証システムも目的はあくまで技術実証であり、社会実装はその先の段階になるが、具体的な利活用ケースを想定しながら実証システムの構想検討を進めている。
実証システムで構想されている運用は、沿岸から無人飛行艇が自動離水し、調査海域まで自動飛行した後、調査海域に着水する。その後、AUVを投入し、AUVが海中で調査を行う。調査後には無人飛行艇がAUVを揚収し、沿岸へ帰投。この一連の流れを自動で実施することを構想している。一方で、AUVが調査している間に無人飛行艇が洋上で待機するのか、データ回収を行うのかといった運用の詳細は、現在も検討中としている。
⇒参考:研究開発課題「海空無人機による海洋観測・監視・調査システムの構築」のWebサイト
この構想は、有人調査船を全面的に置き換えるものではない。調査船には、大きな搭載能力を生かして重い機器を運用できることや、重量物の回収に対応しやすいことといった利点がある。有人船であれば、調査海域の状況に応じて柔軟に判断し、きめ細かく対応できる点も強みになる。
一方、航空機型のプラットフォームには、調査海域へ迅速に展開できる利点がある。さらに無人化すれば、危険を伴う海域にも投入しやすくなり、運用コストを抑えられる可能性もある。このため、海空無人機は、機動性を重視するミッションや、危険を伴うミッションに特に適したプラットフォームとして運用できるだろう。通常の調査でも、観測やデータ回収を主目的とする場合には、既存プラットフォームよりコスト面で優位になる可能性があるとしている。
今回の試験は、海空無人機システムの完成形を示したものではない。既存機材を使い、水中小型ビークルと無人飛行艇で構成するシステムの一連の行動と機能を確認した段階といえる。それでも、海中のHSVから洋上のXU-MIIへ観測データを伝送し、無人飛行艇によるデータ回収を実現した意義は大きい。
海洋調査の無人化は、AUV単体だけでは完結しない。AUVを目標海域へどう運ぶのか。どのように投入し、通信し、調査後に揚収し、帰還させるのか。こうした一連の運用をシステムとして成立させる必要がある。JAMSTECと新明和工業は、個々の機能の自動化を積み上げ、最終的に海空無人機システムとして運用全体の自動化技術を実証しようとしている。今回の試験は、その実現に向けて、音響通信でシステムとして一体化できることを示したといえるだろう。
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