将来的な採用に向けた提案をしているのが通信の機能ブロックだ。ヒューマノイドが正確な外界認識を行うのに必要な、高解像のカメラやLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)のデータ伝送には広い帯域幅が求められる。また、動作を適切なタイミングで行うには、関節のモーター制御の遅延をできるだけ短くする必要がある。ガイガー氏は「これらの要件を満たすのがTSN(Time Sensitive Networking)に対応したイーサネット通信だ。現在はCANが用いられているが帯域不足であり、将来的にはTSN対応のイーサネットに移行するだろう」と強調する。
6つの主要機能ブロック以外に加えて重要な要素となるのがセキュリティだ。「ヒューマノイドはフィジカルAIを代表するアプリケーションである以上、OTA(Over the Air)によるアップデートが必須でありそのためには接続をセキュアにしなければならない」(ガイガー氏)。インフィニオンは、マイコンにセキュリティ機能を組み込む技術に加えて、PCに広く採用されているTPM(Trusted Platform Module)のセキュリティICでも高い実績を有している。暗号化技術でも耐量子暗号(PQC)に対応するなど、次世代セキュリティに向けた準備も進めていることも強みだ。
現在、ヒューマノイドの技術開発では中国と米国が先行しているといわれている。ガイガー氏は「中国はハードウェアファーストで、大量生産したヒューマノイドを使ってAIの学習を積み重ねるというのアプローチをとっている。米国はその逆で、AIモデルの開発が先行しており、現時点でハードウェアとしてのヒューマノイドを完璧なものとして作り込んでいない」と話す。
一方、中国と米国を追いかける欧州、日本、韓国にも十分チャンスがあるという。「オートメーション産業で高い実績があるので、それをベースにスケールしていくことができるのではないか。高品質かつセキュリティと安全を担保した上での大量生産ができることが力になるはずだ」(ガイガー氏)。
ただし、どの国や地域でも、ヒューマノイドを手掛ける企業の多くは従業員数が100〜300人程度であり開発のリソースは不足している。ガイガー氏は「インフィニオンは、半導体単品を供給するのではなく、主要機能ブロックごとにシステムとして提案できる。複雑なヒューマノイドの開発パートナーとしてインフィニオンは最適だろう」と述べている。
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