FRONTiaの開発主体となるのがNoetraと産総研だ。経済産業省とNEDOから受託した「AIロボット・フィジカルAIを見据えたマルチモーダル基盤モデル開発事業」は2026〜2030年度の5カ年プロジェクトであり、初年度の2026年度の予算は3873億円が割り当てられている。
FRONTiaを開発するためには独自のAI計算基盤を整備する必要がある。Noetraは、NVIDIAのAIファクトリー向けの最新製品である「NVIDIA Vera Rubin」をAI計算基盤に採用する予定であり、1万3750基以上の「NVIDIA Vera CPU」と2万7500基以上の「NVIDIA Rubin GPU」が導入されるという。2027年4月に構築を開始し、2028年6月から稼働させる予定だ。このAI計算基盤が完成する前の2026〜2027年度については、既に日本国内で運用されている計算基盤を活用する方針である。
FRONTiaは、その成果を毎年度公開する方針である。Noetra 代表取締役社長の丹波廣寅氏は「安心安全に使えるモデルを毎年度公開する。これは日本が世界に対してモデルを持って打って出るということだ。これまでの選択肢は海外のモデルしかなかったが、そういうところに第3極を作りにいく。日本として選択肢を1つ増やすという思いで毎年度公開していく」と強調する。
FRONTiaで開発するマルチモーダル基盤モデルは、推論基盤モデルと生成基盤モデルの2つに分けられる。推論基盤モデルは、世界水準となる1兆パラメーター級の大規模化を図りながら、読む/見る/聞く/触れるといった人の五感を1つのモデルで実現するマルチモーダル統合を行い、実世界を理解し現場で動く実世界推論への対応を目指す。一方、生成基盤モデルは、複雑な実世界を再現し、仮想世界で多くの試行錯誤ができる世界モデルであるとともに、事故/例外/劣化など現実では集めにくいデータを自ら作り出す機能も備えている。Preferred Networks 代表取締役社長でNoetra 開発戦略室 室付を務める岡之原大輔氏は「現在利用可能な世界モデルはまだ使える範囲が狭い。日本の強みである豊富な現場データを入れ込んで、実際の世界でやれることを増やすことがFRONTiaの目標である、だからこそ“実”世界としている」と説明する。
FRONTiaの開発サイクルには、産総研における先端研究の成果が随時組み込まれていくことになる。産総研 人工知能研究センター 副研究センター長の濱崎雅弘氏は「FRONTiaは非常に難しい課題であり、世界的なネットワークを活用することが重要だ。そのために、世界中の知を結集するための研究開発体制を構築している」と語る。
国内外の研究者が参加できる多様な研究テーマを立ち上げ最先端のAI研究を推進する。主な研究領域は、原理解明/効率化、視覚/3D、音声/音響、ロボット/デジタルツイン、エージェントの5つに設定した。研究成果は、随時マルチモーダル基盤モデルの開発に反映していくとしている。
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