早稲田大学の研究グループは、画像認識における空間情報や周波数情報の損失を抑えるフラクタルウェーブレット法「FractalNEXT」を開発した。自動運転や医用画像処理などへの応用が期待される。
早稲田大学は2026年7月13日、画像認識における空間情報や周波数情報の損失を抑えるフラクタルウェーブレット法「FractalNEXT」を開発したと発表した。
画像認識分野のニューラルネットワークモデルは高性能化が進む一方、画像を空間分割したパッチから特徴ベクトルを抽出、混合するプロセスにおいて、特徴空間情報が失われる課題があった。従来の「ResNet」などは残差接続によって情報を補うが、周波数情報の再現が不十分なため、小さな物体の認識漏れが生じるなど安定性の維持に課題を残していた。また、2017年に発表された「FractalNet」は残差接続を使わずに超多層ネットワークを構成できるものの、空間や周波数の情報損失からResNetに劣る認識性能となっていた。
本研究グループは、これらの課題を解決するため、各パッチ内の空間情報を保持したままウェーブレットパッチトークンを抽出する手法「MWPP(Multiple Wavelet Patch Partition)」を提案した。さらに、残差接続を補強して周波数情報の伝達安定性を高める「SWC(Selective Wavelet Connection)」を導入した。これらを基盤に、畳み込みと自己アテンションを統合し、初期のブロックを基準として段階的に同じ構造を繰り返して構築するスケーラブルなFractalNEXTを設計した。
性能評価においてFractalNEXTは、画像データセット「ImageNet」でResNetを上回る76.8%、画像データセット「CIFAR-100」で81.2%のトップ1精度を達成した。また、古文書のくずし字認識に適用したところ、既存モデルの「VMamba」「PVTV2」「ConvNeXtV2」を上回るF1スコアの認識性能を示した。
本技術により、大小や遠近の異なる多様な物体が混在する複雑な画像でも正確な認識が可能になる。医用画像処理やリモートセンシング画像解析など、幅広いAI(人工知能)基盤技術への貢献が期待されている。
今後の社会実装に向け、研究グループは群馬大学次世代モビリティ社会実装研究センターと自動運転トラックの共同研究を開始した。さらに、2026年6月に早稲田大学自動車研究機構に「ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)研究所」を設立し、同8月には「SDV・フィジカルAI研究会」を設置する予定だ。2030年までに、本技術を用いた自動運転トラックによる東京(同大学西早稲田キャンパス)〜福岡(北九州キャンパス)間の自動運転レベル4走行の実現を目指す。
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