情報通信研究機構は、都市の既設光通信インフラを用いた実証実験で450Tbpsの伝送に成功した。利用可能な周波数帯域幅を従来の4倍以上に拡大し、既存光ファイバーでの伝送容量の世界記録を更新した。
情報通信研究機構は2026年6月29日、都市に敷設されている既設の光ファイバーインフラを用いて、450Tbpsの大容量伝送を行うフィールド実証実験に成功したと発表した。既存の光ファイバーにおける伝送容量の世界記録を更新する成果となる。
今回の実証では、国際共同研究グループと共同で、従来の商用光通信システムで使われているC帯とL帯の波長帯(約10THz)に加え、新規開拓波長帯であるO帯、E帯、S帯を導入した「マルチバンド波長多重(WDM)」伝送システムを開発した。
これにより、利用可能な周波数帯域幅を従来の4倍以上となる世界最大の42.4Tヘルツ(1264.0〜1617.8nm)まで拡大。広帯域WDM光信号は、O帯、E帯、S帯、C帯、L帯にわたって最大1273個の波長チャネルを含み、偏波多重のQPSK、16QAM、64QAM、256QAM方式を組み合わせることで高いデータレートを達成した。
実験は、英ロンドンの中心部に実際に敷設されているUniversity College LondonとTelehouse Northデータセンター間の19.5kmの光ファイバーを用いて実施された。地下に配置されており、接続部の光コネクターや過去の断線修復などの影響で実験室環境よりも光損失が大きい、実際の運用環境を反映した過酷な条件となっている。この環境下で往復39kmを伝送し、受信データから理想的な誤り訂正符号の適用を仮定して算出したデータレートで450Tbpsを記録。2025年に達成された従来記録の430Tbpsを上回った。
本成果により、既設の光通信インフラにおいて、新規開拓波長帯を活用することで、大規模な設備投資や長期の導入期間を伴わずに通信能力を大幅に拡張できる可能性を示した。今後はさらなる周波数帯域の拡張や新規伝送技術の開発を進め、超大容量、長距離伝送の実現と次世代通信ネットワークの構築を目指す。
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