光通信の基礎から応用までを紹介する本連載。第2回は、デジタル変調の基礎に当たる、最も基本的な振幅変調の方式である振幅偏移変調(ASK)を用いた光通信によるアルファベットの符号送信の実験を行う。
前回は、最も単純な方法で0か1かを光通信で送る方法を紹介しました。これは光通信の歴史で言えば古代の「のろし」のレベルでしたね。
今回は現代の光通信で広く用いられている振幅変調を試します。前回と同じく歴史になぞらえれば、光を使った符号による伝達に当たります。やっと、紀元前4世紀頃に歴史家ポリュビオスが考案したポリュビオスの暗号(Polybius Square)に追い付いてきましたね。
デジタル変調における振幅変調(AM:Amplitude Modulation)は、デジタルデータを搬送波の振幅(信号の強さ)の変化に対応させる変調方式です。そして、最も基本的な振幅変調の方式となるのが振幅偏移変調(ASK:Amplitude Shift Keying)です。
ASKは、デジタルデータ(ビット列)に応じて搬送波の振幅を変化させる最もシンプルなデジタル変調方式です。
基本原理として、ASKではデジタル信号の「1」と「0」を搬送波の異なる振幅レベルに対応させます。
この結果、信号はデジタルデータの「1」の時だけ存在し、「0」の時は消えるように見えます。
ASKの応用には、多値化によって一度に送れる情報量を増やす派生方式があります。
ASKは単純な構造なので、変調器と復調器の回路構成が非常にシンプルであり、安価に実現できることが長所として挙げられます。
ASKは低コスト化も可能です。特に最も単純なOOKは、光通信などでも単純なオン/オフだけで信号を生成/検出できるため、コスト効率が良いです。
ASKは、シンプルさ故に低速なデータ通信や、ノイズの影響が少ない環境(例:光ファイバーや近距離の無線通信)で主に利用されています。高速で信頼性の高い通信が求められる用途では、振幅と位相を組み合わせてノイズ耐性を高めたQAMが主流となっています。
図1に、ASKの実験システムの概要を示します。
送信ユニットから出力する赤外線を使って、とあるアルファベットの符号をASKで変調して送信します。前回は、回路にキーを接続してキーが押下されたときのみ赤外線を発信する仕組みでしたが、今回は一定の間隔でアルファベットの符号を送信します。それ以外は、ハードウェア的に前回の送信ユニットと全く同じです。
光通信の実験システムであることは同じなので、受信ユニットは送信ユニットと空間的に仕切られたところにあります。このため電気的な手段で通信を試みることはできません。
受信ユニットのD1は、赤外線に感度のあるフォトダイオードです。外付けのように描いてありますが、実際は赤外線受信モジュールの中にあります。赤外線受信モジュールの出力は0あるいは1の羅列なのですが、これを受信した符号に対応するアルファベット文字に変換するのがFT232RL USBシリアル変換モジュールです。そしてこのモジュールはPCにUSBで接続されます。PC側からはこの変換モジュールは仮想シリアルポートとして認識されますので、Windows PCであればTeraTermなどのターミナルソフトで受信した信号をアルファベット文字として見ることができます。
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