東京大学は、光学メタサーフェスと薄膜光検出器アレイを1.2cm角のチップに集積した、高速光受信器の実証に成功した。面入射型で容易に高密度2次元並列化できるため、チップ間光配線など幅広い応用が見込まれる。
東京大学は2025年11月24日、光学メタサーフェスと薄膜光検出器アレイを石英基板上に集積した、ワンチップ高速光受信器の実証に成功したと発表した。
研究グループは、シリコン微細構造からなるメタサーフェスと、厚みが1μm以下のInGaAs薄膜受光層を約0.5mm厚の石英ガラス基板に貼り合わせて、帯域70GHz超の高速光検出器を作製した。従来は大型化が避けられなかったが、メタサーフェスと超高速光検出器を1チップに集積したことで、光受信器を小型化できた。
作製した光検出器は、入力光の偏波や複素振幅を各成分に分離し、所望する検出器に集光して受信できる。
1.2cm角のチップには、単一の光検出器にメタレンズを集積した受信器(ML+PD)、多チャンネル受信器(ML+PDA)、ストークスベクトル受信器(SVR)、複素振幅を分離するコヒーレント受信器(CR)など94種類の受信機能を搭載した。
同受信器で、高速信号の受信実験を実施したところ、320Gビット/秒のPAM4信号や240Gビット/秒の64QAM信号の受信に成功した。
作製した光検出器は、メタサーフェスを用いた面入射型のため、容易に高密度2次元並列化できる。チップ間光配線、自由空間光通信、大容量空間分割多重光通信、高速イメージング、光コンピューティングなど幅広い応用が見込まれる。
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