光学メタサーフェスと薄膜光検出器を集積した1チップ高速光受信機を実証組み込み開発ニュース

東京大学は、光学メタサーフェスと薄膜光検出器アレイを1.2cm角のチップに集積した、高速光受信器の実証に成功した。面入射型で容易に高密度2次元並列化できるため、チップ間光配線など幅広い応用が見込まれる。

» 2025年12月16日 14時00分 公開
[MONOist]

 東京大学は2025年11月24日、光学メタサーフェスと薄膜光検出器アレイを石英基板上に集積した、ワンチップ高速光受信器の実証に成功したと発表した。

 研究グループは、シリコン微細構造からなるメタサーフェスと、厚みが1μm以下のInGaAs薄膜受光層を約0.5mm厚の石英ガラス基板に貼り合わせて、帯域70GHz超の高速光検出器を作製した。従来は大型化が避けられなかったが、メタサーフェスと超高速光検出器を1チップに集積したことで、光受信器を小型化できた。

キャプション 光学メタサーフェスと薄膜光検出器アレイを集積したワンチップ高速光受信器の模式図 出所:東京大学

 作製した光検出器は、入力光の偏波や複素振幅を各成分に分離し、所望する検出器に集光して受信できる。

 1.2cm角のチップには、単一の光検出器にメタレンズを集積した受信器(ML+PD)、多チャンネル受信器(ML+PDA)、ストークスベクトル受信器(SVR)、複素振幅を分離するコヒーレント受信器(CR)など94種類の受信機能を搭載した。

キャプション (左)作製したワンチップ高速光受信器のチップ写真、(右)各受信器の機能 出所:東京大学

 同受信器で、高速信号の受信実験を実施したところ、320Gビット/秒のPAM4信号や240Gビット/秒の64QAM信号の受信に成功した。

キャプション 4チャンネル受信器(上段)とストークスベクトル受信器(下段)の顕微鏡写真と高速信号受信結果 出所:東京大学

 作製した光検出器は、メタサーフェスを用いた面入射型のため、容易に高密度2次元並列化できる。チップ間光配線、自由空間光通信、大容量空間分割多重光通信、高速イメージング、光コンピューティングなど幅広い応用が見込まれる。

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